システムの変更を含め、DXのためにさまざまな取り組みを進めるPepsiCo。そうした活動を通じて、同社は事業の何を変えようとしているのか。DXのゴールとは。
食品や飲料品のメーカーPepsiCoは、5カ年計画のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進している。第4回までに、DXの土台となる計画や、システムの変更などを紹介した。同社はDXを通じて、具体的に事業の何を変えようとしているのか。最高戦略責任者(CSO)兼最高変革責任者(CTO)のアシーナ・カニョーラ氏に話を聞く。
PepsiCoのDXの計画は、2021年に始まった。その取り組みを通じて同社が強化することの一つが、顧客体験だ。カニョーラ氏は、重視するポイントとして「コマーシャルエクセレンス」(データを活用して企業や製品の価値を高める戦略)を挙げる。同社の食品や飲料品は、通常は店舗で販売される。それ以外に「オムニチャネル」を構築して顧客体験の向上を目指す。オムニチャネルとは、スマートフォンのアプリケーションやEC(電子商取引)サイトなど、顧客とのさまざまな接点を生み出す手法を指す。同氏は、その取り組みが「売り上げの増加につながる」と語る。
食品や飲料、洗剤をはじめとした消費財の製造と販売には、小売店や流通業者といったさまざまな立場の企業が関与している。「オムニチャネルを構築するのは簡単なことではない」とカニョーラ氏は付け加える。
PepsiCoは顧客とのつながりを改善することに加えて、生産や販売、在庫などのデータを共有して業務を最適化する「統合事業計画」(IBP:Integrated Business Planning)の作成と、サプライチェーンの変革に注力する。サプライチェーンの変革では、パッケージング(包装)や物流分野における業務プロセスの改善に取り組む。
カニョーラ氏は、人事における「ナレッジマネジメント」(知識の管理と共有)の仕組みを改善する重要性も挙げる。PepsiCoは、従業員が採用や退職、新人研修、スキルアップといった人事に関する情報にアクセスしやすい仕組みを作る計画だ。同氏によると、従業員は給与情報を得るためだけに、何度もシステムにログインしなければならない状況だった。
第6回は、DXの推進とサステナビリティ(持続可能性)の両立を実現するPepsiCoの取り組みを紹介する。
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