PepsiCoでは5カ年計画のDXが進んでいる。同社でDXを推進するリーダーが、取り組みの成功に不可欠だと考えている重要なポイントとは。
食品や飲料品のメーカーPepsiCoでは、2021年から5カ年計画のデジタルトランスフォーメーション(DX)が進行中だ。同社のDXを率いることになった最高戦略責任者(CSO)兼最高変革責任者(CTO)のアシーナ・カニョーラ氏は、入社初年度を5カ年計画の基礎固めに注力した。
カニョーラ氏はまず、DXを進める上でリスクとなる要素は何か、優先事項は何かといったことを明確にした。PepsiCoの幹部200人が、DXを通じて成果を生み出すためには何をどこから始めるべきかを理解し、足並みをそろえた。同氏はこれを自身の功績の一つに挙げる。
PepsiCoでの2年目は、計画の遂行に費やした。この期間の功績は、予算内でスケジュール通りに結果を出したことだ。社外では経済や政治での不安定な動きがあったため、それは簡単ではなかった。「コスト効率の高い方法でスケジュール通りに目標を達成するのは困難だった」とカニョーラ氏は指摘する。同氏が率いるチームは、引き続き効果的な計画遂行に注力しているという。
「注意を怠らないこと」「短期的な業績のために長期的な成功を犠牲にしないこと」。これはカニョーラ氏が2つの取り組みをやり遂げる上で重視していることだという。1つ目は、部門横断でデータを一元管理する「エンタープライズデータ管理」(EDM:Enterprise Data Management)を使った水平方向の取り組み。2つ目は「統合事業計画」(IBP:Integrated Business Planning)に重点を置く垂直方向の取り組みだ。
1つ目の取り組みは、Microsoftのクラウドサービス群「Microsoft Azure」のデータレイクを使用し、「予算内かつ前倒しで実現した」とカニョーラ氏は述べる。データ管理用のシステムの開発を、完全に外注するのは適切ではないと同氏は指摘する。「当社では、社内のデータエンジニアチームが開発の大半を完了した上で、社外のシステムインテグレーターを計画的に利用して進めている」(同氏)
2つ目の取り組みについては、IBPのシステムを使うことで、業務担当者が供給計画や財務計画、販売計画を一元的なプロセスと見なし、3年間の計画を立てられるようになるとカニョーラ氏は説明する。特にサプライチェーンや製造における不安定要素を抱える中では「IBPを通じて事業を可視化することが重要だ」と同氏は語る。
1つ目と同様に、2つ目の取り組みでも社外からの支援を活用している。機械学習などの人工知能(AI)技術で企業の事業決定を支援するo9 Solutionsによる支援と、PepsiCoの従業員が持つ専門技術とを組み合わせて取り組みを進めているという。「DXを進めるために培ってきた従業員の知見や分析軸、データ、ユーザーエクスペリエンス(UX)は全て、PepsiCoが構築した社内リソースだ。それらを自社の支配下に置きたかった」(カニョーラ氏)
第4回は、PepsiCoがDXを通じて強化したい分野について深堀りする。
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