なぜ生成AIを「バックアップ」に使ってはいけないのか? 反対派の言い分 生成AIでバックアップはどう変わる?【第4回】

画像やテキストを生成するAI技術「生成AI」に、バックアップベンダーは期待を寄せている。一方で、生成AIの利用に慎重論を唱える業界関係者もいる。

2023年09月20日 05時15分 公開
[Stephen PritchardTechTarget]

 テキストや画像などを自動生成する人工知能(AI)技術「ジェネレーティブAI」(生成AI)を実装したツールは、IT部門の業務を効率化することに役立つ可能性がある。ただしその可能性があるにもかかわらず、重要なITインフラの管理に生成AIやLLM(大規模言語モデル)を活用することについて、慎重な態度を取るバックアップベンダーの関係者もいる。何を懸念しているのか。

バックアップベンダーが「生成AI」に抱く懸念とは

 データを分類、識別、ラベル付けするためのAI技術「識別AI」の用途は広がっているが、データを生成するためのAI技術「生成AI」の用途はまだ手探りの状態だ。「生成AIよりも、データの蓄積や加工、分析をするための基盤となるシステム『データプラットフォーム』の最適化を目的とした識別AIの使用が広がっている」。ストレージベンダーPure StorageのEMEA(欧州、中東、アフリカ)地域でCTOを務めるパトリック・スミス氏はそう語る。

 ストレージの運用状況に関するレポートは正確である必要がある。企業の意志決定はレポートに基づくからだ。不正確な情報や、データの整合性が取れていないレポートは信頼できない。

 「ストレージとバックアップは間違いなく生成AIと機械学習によって進化するが、情報を正確に扱えないのであれば、チャットbotの使用は推進すべきではない」。データ保護ツールベンダーVeritas Technologiesの英国リージョナルバイスプレジデント、バリー・キャッシュマン氏はそう警告する。

 キャッシュマン氏は、データ保護戦略に生成AIを安易に組み込むことに反対している。その理由について同氏は、「現在公開されている生成AIは、ビジネスにおける重要なデータを第三者に開示し、法規制やコンプライアンス違反を起こす可能性がある」と述べる。

Computer Weekly発 世界に学ぶIT導入・活用術

米国TechTargetが運営する英国Computer Weeklyの豊富な記事の中から、海外企業のIT製品導入事例や業種別のIT活用トレンドを厳選してお届けします。

ITmedia マーケティング新着記事

news060.jpg

Z世代が考える「日本が最も力を入れて取り組むべき課題」1位は「ジェンダー平等」――SHIBUYA109 lab.調査
SDGsで挙げられている17の目標のうち、Z世代が考える「日本が最も力を入れて取り組むべき...

news061.png

高齢男性はレジ待ちが苦手、女性は待たないためにアプリを活用――アイリッジ調査
実店舗を持つ企業が「アプリでどのようなユーザー体験を提供すべきか」を考えるヒントが...

news193.jpg

IASがブランドセーフティーの計測を拡張 誤報に関するレポートを追加
IASは、ブランドセーフティーと適合性の計測ソリューションを拡張し、誤報とともに広告が...