「5G」があっても解消できないアジアの“深刻な問題”アジアと5Gの未来【後編】

GSMAの調査によれば、アジア太平洋地域のモバイル通信市場の規模は拡大が見込まれる。しかし、その成長に当たっては幾つかの課題がある。

2023年09月20日 05時15分 公開
[Joe O’HalloranTechTarget]

 通信事業者の業界団体GSM Association(GSMA)のレポート「The Mobile Economy Asia Pacific 2023」は、バングラデシュ、インド、インドネシア、パキスタン、日本、マレーシア、シンガポール、韓国の8カ国を対象とするアジア太平洋地域の通信市場を調査した結果を報告している。同レポートによれば、アジア太平洋地域のモバイル通信市場の規模は2032年までには9900億ドルと、ほぼ1兆ドルに達する見込みだ。

 同レポートはアジア太平洋地域の懸念も指摘している。人口の47%がいまだにモバイル通信を利用してインターネットに接続できていない点だ。何が普及の妨げになるのか。

何がモバイル市場の拡大を妨げるのか? 「5G」でも解消できない問題とは

 GSMAのレポートによれば、高齢者のデジタルスキルが未成熟なこと、端末やサービスの価格、オンラインサービスの安全性に懸念があることなどが、モバイル通信の普及を妨げる主な理由だ。

 「インドでは2023年に数千万台が5Gに接続する見込みであるなど、アジア太平洋地域には急速に成長している5G市場がある。ただしアジア太平洋地域全体におけるモバイルインターネット利用の格差は世界最大級となっている」。GSMAのAPAC担当責任者のジュリアン・ゴーマン氏はそう述べる。

 モバイル通信による「DX」(デジタルトランスフォーメーション)を実現するには、「モバイル通信サービスの展開と運用を支援する、将来を見据えた規制および政策体制を確立する必要がある」とゴーマン氏は指摘する。政策については、特に女性や社会的弱者に対するデジタル格差解消への取り組み強化が必要だという。

Computer Weekly発 世界に学ぶIT導入・活用術

米国TechTargetが運営する英国Computer Weeklyの豊富な記事の中から、海外企業のIT製品導入事例や業種別のIT活用トレンドを厳選してお届けします。

ITmedia マーケティング新着記事

news061.png

高齢男性はレジ待ちが苦手、女性は待たないためにアプリを活用――アイリッジ調査
実店舗を持つ企業が「アプリでどのようなユーザー体験を提供すべきか」を考えるヒントが...

news193.jpg

IASがブランドセーフティーの計測を拡張 誤報に関するレポートを追加
IASは、ブランドセーフティーと適合性の計測ソリューションを拡張し、誤報とともに広告が...

news047.png

【Googleが公式見解を発表】中古ドメインを絶対に使ってはいけない理由とは?
Googleが中古ドメインの不正利用を禁止を公式に発表しました。その理由や今後の対応につ...