通信事業者の業界団体がアジア太平洋地域のモバイル通信市場について調査したところ、5Gの利用が急拡大していることが分かった。
「5G」(第5世代移動通信システム)は世界各国に広がっており、特にアジア太平洋地域における躍進は目を見張るものがある。通信事業者の業界団体GSM Association(GSMA)の調査によれば、モバイル通信の接続数のうち5Gが占める割合は、アジア太平洋地域では2022年に4%だったが、2030年には41%を占め、約14億件になると見込まれている。背景に何があるのか。
GSMAはアジア太平洋地域におけるモバイル通信技術とその市場動向についての調査レポート「The Mobile Economy Asia Pacific 2023」を出している。これは、バングラデシュ、インド、インドネシア、パキスタン、日本、マレーシア、シンガポール、韓国の8カ国におけるモバイル通信市場の主要トレンドや、今後の動向を予測したものだ。
同レポートによれば、アジア太平洋地域で5G接続の数は急速に拡大する。5Gのサービス提供エリアの拡大だけでなく、5G端末の平均価格の低下や、各国政府が5Gのサービス展開を支援していることが理由だ。
調査結果の中には、2022年から2030年の間にモバイル通信の加入者が約4億人増加して約18.4億人に達するという予測が含まれている。スマートフォンの普及率は、2022年から18%上昇し、2030年には94%に達する見込みだ。
同レポートはオーストラリア、日本、シンガポール、韓国などの成熟市場が5G市場をけん引する存在であると説明する一方で、他のアジア太平洋地域の国では課題が存在することも指摘している。
中編は、具体的にどのようなサービスや技術がアジア太平洋地域における5G市場の成長に貢献するのかを解説する。
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