需要の高まるAI人材としてのキャリアを歩む上で、周りとの差別化を図るためにはどのようなスキルが役に立つのか。スキルを身に付けるために効果的な手法とは。
AI(人工知能)技術に関連する人材(以下、AI人材)の需要が拡大する中で、どのようなスキルが重要になりつつあるのか。AI人材に求められるのは技術的なスキルとは限らない。技術以外のスキルも身に付けることで、さまざまな要素を考慮してビジネスに最適な方針を下したり、社内の利害関係者やプロジェクトチームと迅速に連携したりすることが可能だ。
AI人材になるために必要なスキルと、それを習得するための4つの学習方法、資格の必要性などを解説する。
Amazon Web Services(AWS)でアジア太平洋および日本地域担当のトレーニングと認定担当ディレクターを務めるアンドリュー・スクラー氏は、「AIエンジニアには、批判的思考力や問題解決能力、洞察力の他、コミュニケーションやコラボレーションのための対人スキルも求められる」と話す。このようなスキルを身に付ける効果的な方法には、以下のようなものがある。
AIキャリアをスタートするために、オンラインの教材や学習コースを活用することは一つの手だ。例えば、誰でも受講可能な大規模公開オンライン講座(MOOC)「Coursera」では、スタンフォード大学(Stanford University)の提供する機械学習コースや、ヘルシンキ大学(The University of Helsinki)の提供するAIプログラムなどが受講可能だ。
AI技術に関する研究論文を読むことは、最新の研究動向を把握することに役立つ。研究論文は最先端のものを含み、ほとんどの場合はオープンアクセスリポジトリ「arXiv.org」にて無料で公開されている。
実践的なスキルを身に付け、他のAIエンジニアと技術を競うために、AI専門家向けのオンラインコミュニティー「Kaggle」が開催するコンテストに参加することも効果的だ。
さまざまなクラウドベンダーが、AI技術関連の学習コースを提供している。例えばAWSは、AWSの機械学習関連サービスの利用に役立つ、70種類以上のオンライン学習コースを無料で提供する。コースの内容は多岐にわたり、ビジネスおよび技術分野における意思決定者向けの機械学習基礎から、機械学習アプリケーション構築といった高度なテーマまでを扱う。AWSの機械学習資格「AWS Certified Machine Learning - Specialty」対策用の学習コースもあり、AI技術をツールやアプリケーションに組み込む方法を学ぶことができる。
AI用のGPU(グラフィックス処理装置)を提供するNVIDIAも、学習コースを複数用意している。コースは、AI技術を活用したサービスの構築や実装、運用、サポートに必要なスキルを網羅する。受講対象となるのはデータサイエンティストやアプリケーションビルダー、クリエイター、テクニカルアーティスト、研究者、IT管理者などだ。
AI系キャリアにおいて、資格はどれほどの重要性を持つのか。SalesforceのASEAN(東南アジア諸国連合)地域担当でバイスプレジデントとソリューション部門CTO(最高技術責任者)を務めるギャビン・バーフィールド氏は、「AI人材にとっては資格そのものより、資格を通じて得るスキルや業界知識の方が重要だ」と語る。業界知識を得ることは、AI技術をビジネスで応用する方法や利点を、より具体的に理解することにつながるからだ。
東南アジアの銀行大手DBS Bankでデータプラットフォーム部門責任者を務めるペトリ・トゥオモラ氏は、「資格は実務経験の代わりになるものではない」と指摘する。資格はAIキャリアを歩む上での基礎となり、スキル向上に役立つ。一方で、物事を批判的に考えたり、イノベーションを起こしたりといった、実務で知識を応用する能力こそが、AI人材としての差別化に貢献する要素だというのがトゥオモラ氏の考えだ。
「困難なプロジェクトに取り組み、複雑なビジネスの問題を解決するという経験値こそが、AI技術分野で最も価値のある資産だ」(トゥオモラ氏)
第6回は、AIキャリアを検討する際のアドバイスや注意点を紹介する。
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