AI技術の利用が拡大する中で、企業が従業員のAIスキルギャップに悩む場面が広がっている。多岐にわたるAI系キャリアの中で、どの領域が今後重要性を増すのか。
コンサルティング会社Deloitteが2020年3月に公表したグローバル調査「Talent and workforce effects in the age of AI」によると、企業の幹部は、組織におけるAI(人工知能)技術のスキルギャップに悩んでいる。今後AI技術関連では、どのような仕事が重要になるのか。
Deloitteは2018年7月~9月、7カ国におけるAI技術のプロトタイピング(試作品を用いた事前検証)やAI技術の実装を実施している企業で働くITおよびビジネス部門の幹部1900人を対象に調査を実施。回答者の68%が従業員のAIスキルについて「中程度から極度のスキルギャップがある」と回答した。
スキルギャップを埋めるために企業が必要だと答えたのは、例えば以下の人材だ。
Amazon Web Services(AWS)でアジア太平洋および日本地域のトレーニングと認定担当ディレクターを務めるアンドリュー・スクラー氏は、「AI技術に関するキャリアにはさまざまな選択肢がある」と話す。一方でスクラー氏は、AI技術を取り巻く環境は日々進化しているとも指摘する。例えば、AI技術でテキストや画像などを自動生成する「ジェネレーティブAI」(生成AI)から望ましい出力を得るために適切なプロンプト(情報生成のための質問や指示)を開発する「プロンプトエンジニア」は、2022年半ばの時点では存在しなかった。
AI人材のバックグラウンドも多様化している。フードデリバリーサービス「foodpanda」を運営するDelivery Heroで働くAI技術の専門家は、大半はコンピュータサイエンス分野の出身だが、心理学や社会学などの分野から入ってくることもある。Delivery Heroの最高技術責任者(CTO)セバスチャン・ロドリゲス氏は、「技術分野以外からAI人材になった人の共通点は、データやデータから学べることにわくわくできる探究心を持っていることだ」と話す。
技術が発展するのと同時に、AI技術が果たす役割は進化する。「AI技術が社会に普及するにつれ、AI技術に関する職業は近い将来、大きく変わる可能性がある」とスクラー氏は話す。例えば、OpenAIが提供するAI技術を活用したチャットbot「ChatGPT」やその他の大規模言語モデル(LLM)が登場した際、使用時における倫理上の懸念が指摘され、AI倫理の専門家といった新たな役割が誕生した。AI倫理の専門家は、企業がAI技術を使用する際の倫理的な影響を考慮し、企業の信頼を確保しつつ、AI技術の責任のある開発および導入を保証する役割を担う。
東南アジアの銀行大手DBS Bankは、AI技術を積極的に取り入れる企業の一つだ。同行でデータプラットフォーム部門責任者を務めるペトリ・トゥオモラ氏は、「AI技術が進化し続ける状況において、AI倫理の専門家が重要な役割を果たすだろう」と語る。
第3回は、AI技術に関するキャリアにはどのようなものがあるのかを詳しく見る。
米国TechTargetが運営する英国Computer Weeklyの豊富な記事の中から、海外企業のIT製品導入事例や業種別のIT活用トレンドを厳選してお届けします。
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