AWSでもMicrosoftでもない“急浮上”のクラウドベンダー、沈んだあの大手IaaS市場の今後【前編】

Gartnerによると2022年のIaaS市場は、全体としては好調を継続した。ただし主要クラウドベンダーの成長には明確な“明暗”があった。その実態とは。

2023年08月24日 07時15分 公開
[Caroline DonnellyTechTarget]

 調査会社Gartnerは2023年7月、2022年のIaaS(Infrastructure as a Service)市場の動向を発表した。IaaS市場の成長が続いていることに変わりはないが、Amazon Web Services(AWS)、Microsoft、Alibaba Group、Google、Huawei Technologiesといった主要クラウドベンダーの成長には“明暗”があった。

IaaS市場に“想定外”の展開? 急浮上のベンダー、沈んだあの大手とは

 Amazon Web Services(AWS)の2022年のIaaS関連の売上高は約481億ドルと、2021年比で36.0%増加した。市場シェアは40%を占め、前年に続き首位を維持した。

 Microsoftの市場シェアは21.5%で2位となり、売上高は約256億ドルで前年から35.0%増加した。中国の大手クラウドベンダーAlibaba Groupは7.7%の市場シェアで3位となった。だが同社の売上高は約93億ドルで前年比2.4%増にとどまり、成長率はAWS、Microsoft、Google、Huawei Technologiesを含む大手クラウドベンダー5社の中で最も低かった。

 Googleは7.5%の市場シェアで4位だったが、売上高は前年比41.0%増の約91億ドルと、大手クラウドベンダー5社の中で最大の成長率を示した。Googleの収益が伸びた背景には、以下の要因がある。これらの取り組みにより顧客基盤が拡大した。

  • ソブリンクラウド(特定の国のデータ保護に関する法律や規則、セキュリティの要件に従うクラウドサービス)への投資拡大
  • IaaSの販売およびマーケティングパートナープログラムの拡充

 Gartnerでバイスプレジデントアナリストを務めるシド・ナグ氏は、「第4四半期(10月〜12月)に市場の成長が落ち込んだものの、2022年全体のIaaS市場は想定以上に好調だった」と話す。成長が鈍化した背景には、顧客が新しいサービスの導入よりも、利用を確約したリソースの活用に注力したことがあるという。

 ナグ氏によると、IaaS市場の成長は今後も続き、2024年には成長が加速する見込みだ。IaaS市場には今後の成長余地がまだある。


 後編は、IaaS市場の今後の動向について解説する。

Computer Weekly発 世界に学ぶIT導入・活用術

米国TechTargetが運営する英国Computer Weeklyの豊富な記事の中から、海外企業のIT製品導入事例や業種別のIT活用トレンドを厳選してお届けします。

ITmedia マーケティング新着記事

news054.jpg

「Threads」が月間アクティブユーザー1億5000万人を突破 今後Xを追い抜くための最善策は?
Metaはイーロン・マスク氏率いるTwitter(当時)の対抗馬として2023年7月にリリースした...

news060.jpg

Z世代が考える「日本が最も力を入れて取り組むべき課題」1位は「ジェンダー平等」――SHIBUYA109 lab.調査
SDGsで挙げられている17の目標のうち、Z世代が考える「日本が最も力を入れて取り組むべき...

news061.png

高齢男性はレジ待ちが苦手、女性は待たないためにアプリを活用――アイリッジ調査
実店舗を持つ企業が「アプリでどのようなユーザー体験を提供すべきか」を考えるヒントが...