IaaSの可用性向上を実現する場合、IaaSの「何」の可用性を高めるのかを検討し、必要以上のコストが発生しないようにするのが重要だ。IaaSの主な構成要素を整理し、それぞれでHAを実現する方法を説明する。
IaaS(Infrastructure as a Service)をインフラとするアプリケーションを安定稼働させるには、IaaSに高い可用性が必要だ。高可用性(HA)を確保することで、ユーザー企業は自社のデータやアプリケーションを保護できる可能性が高まり、エンドユーザーの利便性の向上にもつながる。前編「SLAの『99.9%』は何を意味するのか 必要な可用性を計算する方法」に続く本稿は、IaaSでHAを実現するための3つのベストプラクティスのうち、2つ目を説明する。
高可用性(HA)を実現するためには、それなりの時間とコストがかかる。ミッションクリティカルなアプリケーションには、それらを掛ける価値がある。余計なコストを抑えるには、HA実現のために用意するリソースの量を適切にすることが重要だ。
IaaS(Infrastructure as a Service)に問題が発生した場合でも、アプリケーションに継続的にアクセス可能にするためのツールは幾つか存在する。特定のアプリケーションに十分かつ無駄のないリソースと可用性の要件を割り当てることで、信頼性やパフォーマンスとコストのバランスを取る必要がある。
可用性とコストの要件を両立させるために理解しておくべきIaaSの構成要素を、以下に幾つか挙げる。
単一障害点を探して取り除き、インスタンス(仮想マシン)をアベイラビリティゾーン(IaaSベンダーが運用する独立したデータセンター)全体に分散させ、冗長化することでHAを実現する。
IaaSとオンプレミスインフラの間でデータを転送する際には、適切なネットワーク接続が欠かせない。アプリケーションの種類によっては、専用線が必要になる。
IaaSのユーザー企業はインスタンスをクラスタ構成にしたり、フェイルオーバー(システム切り替え)用のバックアップインスタンスを作成したりして、インスタンスの可用性を向上させることができる。こうしたインスタンスの構成はコストを増大させる可能性がある。
アプリケーションのデータはストレージに保持される。クラウドストレージは可用性が高く、レプリケーション(ストレージの複製)が必要ない場合がある。ただしレプリケーションをしない場合、ストレージがアプリケーションの単一障害点になり得る点に注意を払わなければならない。
ロードバランサー(負荷分散装置)は、インスタンスに大きい負荷がかかった場合に、転送データを複数のインスタンスに振り分ける。ロードバランサーを利用すれば、インスタンスの障害をいち早く検出し、修正できる。
インスタンスで障害が発生した場合、そのインスタンスのIPアドレスを代替インスタンスにマッピングし直して、データをリダイレクト(転送)させる必要がある。
SLA(サービス品質保証契約)の観点から見ると、システム監視によって稼働時間の可用性を検証しやすくなる。可用性に関わるIaaSの状態や使用状況を追跡するのにも役立つ。
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