BroadcomがVMwareを買収した後、売却されたEUC部門は「Omnissa」として再出発した。Omnissaはどのような会社なのか。誕生の背景は。
2023年11月、半導体ベンダーBroadcomは仮想化ベンダーVMwareを買収した。この買収は、VMwareのパートナー企業や顧客にさまざまな影響をもたらしたが、特に影響が大きかった分野の一つが、デスクトップ仮想化などの製品を扱う「エンドユーザーコンピューティング」(EUC:End-User Computing)事業だ。
Broadcomは当時、VMwareのEUC部門の売却を計画していると発表しており、関心を持つ企業があればどこにでも売却する考えだった。2024年、BroadcomはVMwareのEUC部門を投資会社のKKRに売却し、Omnissaという独自のブランドとして事業を継続することになった。そのOmnissa誕生に至る経緯を、今までのVMwareの成長を振り返りながら確認しよう。
VMwareは1990年代に設立され、ハイパーバイザーをはじめとする仮想化技術で市場をけん引してきた。2000年代、同社は企業向けのサーバ仮想化ソフトウェア「VMware GSX Server」とハイパーバイザー「VMware Workstation」で市場を先導した。
それ以来、同社はネットワーク仮想化やセキュリティ、ストレージ仮想化、エッジコンピューティング、マルチクラウドのワークロード(処理やタスク)管理、EUC製品などさまざまな分野で製品やサービスを提供するソフトウェアベンダーへと進化した。
VMwareが最初に発売したVDI(仮想デスクトップインフラ)製品は「VMware VDM」(Virtual Desktop Manager)だ。2008年には「VMware View」に改名、そして2014年には「VMware Horizon」へと進化した。同社は2014年、エンタープライズモビリティー管理(EMM)のベンダーAirWatchを買収し、この業界における地位を確固たるものにした。
歴代の複数のCEOの下で、VMwareの製品戦略やビジョンは変化してきた。2008〜2012年の間はポール・マリッツ氏が、2012〜2021年の間はパット・ゲルシンガー氏、2021年からBroadcomによる買収が完了するまではラグ・ラグラム氏がCEOを務めた。クラウドサービスに移行するかしないか、コンテナ技術をどのように取り入れるかといった課題について、CEOの発言が変わる時期もあった。
ハイパーバイザーやネットワーク仮想化ソフトウェアの「VMware NSX」、ストレージ仮想化ソフトウェア「VMware vSAN」などの製品は、常にデータセンターの基盤として信頼されてきた。EUC製品についても同様で、AirWatchから引き継がれた部分は統合エンドポイント管理(UEM)ソフトウェア「VMware Workspace One」としてリブランドされ、VDI製品についてはVMware Horizonという名称を引き続き使用した。
VMwareを買収した後、BroadcomはVMwareの製品ポートフォリオを検討し、恐らく製品が多様過ぎると判断した。そのため、EUC製品はもはや同社の将来のロードマップに適合しないと結論付けたのだ。
次回はOmnissaを買収したKKRの正体に迫る。
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