IaaSにあるデータやアプリケーションを安定して利用できる状態にするには、IaaSの可用性を高める必要がある。必要な可用性を検討する際のポイントを説明する。
IaaS(Infrastructure as a Service)で動くアプリケーションを安定して稼働させ続けるためには、IaaSに高い可用性が必要だ。可用性が低いIaaSでは障害発生時に、IaaSにあるデータやアプリケーションにアクセスできなくなる可能性が高くなる。高可用性(HA)を確保できれば、自社のデータを保護できる可能性が高まり、生産性や信頼性の支えにもなる。
本連載は、IaaSでHAを実現するための3つのベストプラクティスを説明する。
稼働時間は、システムが適切に機能している時間の測定値だ。クラウドベンダーとユーザー企業の間で交わすSLA(サービス品質保証契約)では、クラウドサービスに期待する可用性と、それを満たせなかった場合に起こり得る結果を規定する。
「Amazon Web Services」(AWS)を提供するAWSや「Microsoft Azure」のMicrosoft、「Google Cloud Platform」のGoogleなど、大手IaaSベンダーは各サービスのSLAで稼働率99.9%以上の可用性を規定している。これは、1年間に発生するダウンタイム(システム停止時間)を9時間未満に抑えることを顧客に保証する。可用性を示す稼働率の数値の「9」の数が増えるほど、ユーザー企業が1年間に経験し得るダウンタイムは短くなる。
アプリケーションの複雑さは、IaaSの稼働時間に影響する可能性がある。例えばシンプルなWebサイトは障害点が少なくなるため、その稼働率は99.9999%になることもあり得る。これは年間約31.6秒のダウンタイムに相当する。一方で複雑でモノリシック(一枚岩)なWebアプリケーションは、キャッシュサーバやオブジェクトストレージといった構成要素が多くなり、それだけ障害点も増える。そのためHAの実現が難しくなる場合がある。
企業は冗長性を追加することで稼働時間を確保できる。ただし、その分コストも増える。
アプリケーションに必要な稼働時間は、アプリケーションの用途に大きく左右される。例えば庭の手入れに関する通販Webサイトにアクセスするユーザーは、救急医療サービス事業者のWebサイトにアクセスするユーザーと比べて、ダウンタイムへの許容度は高いと考えられる。全てのIaaSに99.999999%の可用性が必要なわけではない。企業がIaaSベンダーとSLAを交渉する際には、ダウンタイムがエンドユーザーに与える影響と、自社の許容度を踏まえて検討する必要がある。
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