SaaSのサービス品質保証契約(SLA)について考える【前編】
SaaSのSLAで要確認 稼働率99.9%の根拠は? 返金されない条件は?
SaaSを選定するときに、ベンダーと最適なSaaSのサービス品質保証契約(SLA)を締結するにはどうすればよいだろうか。サービスの稼働時間と、ベンダーのサポートの観点から考える。
運用のシンプルさは、SaaS(Software as a Service)のメリットの一つだ。企業はSaaSを利用することで、CPUやメモリといったコンピューティング、ストレージ、ネットワークなどのリソースの管理をベンダーに任せることができる。
SaaSの利用数や重要性が高まると、システムの運用管理におけるSaaSベンダーへの依存が大きくなる。そうなると、企業はベンダーとのサービス品質保証契約(SLA)が自社のニーズを満たしているかどうかを確認する必要性が増す。
企業がSaaSの選定で考慮すべき重要な項目は、多岐にわたる。本稿では前後編にわたり、SaaSのSLAで確認すべきポイントを4つ取り上げる。
ポイント1.稼働時間
SaaSの稼働時間は、SLAの中で最も重要な要素の一つだ。SaaSは短時間のダウンタイムでもビジネスに悪影響を与える恐れがある。
現在、主要SaaSベンダーは一般的に、SLAで99.5~99.9%程度の稼働率を保証している。ただしこの数値には、メンテナンスのため特定の時間帯にサービスの稼働が止まることについての注意書きが伴う。このレベルの稼働率では低過ぎると感じるユーザー企業もある。ただし実際の稼働率は、公表されている数値よりも高くなることが多い。
Salesforce.comなどの主要SaaSベンダーは、公式サイトやSaaSのステータスダッシュボードに稼働時間を公開している。これによると「約束よりもはるかに優れた稼働時間を達成し続けるサービスは少なくない」と、調査会社Forresterでアナリストを務めるリズ・ハーバート氏は語る。
企業はSaaSのSLAについて現実的に考える必要がある。「起こらない可能性が圧倒的に高い事故について、石橋をたたいて時間を浪費すべきではない」と同氏は述べる。
ポイント2.障害対応
SaaSベンダーによっては、オプションの運用保守サービスを用意しているところがある。しかしこうしたサポートサービスは、オンプレミスインフラの運用保守サービスほどの必要性はない可能性がある。SaaSは複数のユーザー企業が共用するマルチテナント設計で、標準化されているからだ。
マルチテナントの影響はSLAにも及ぶ。例えばあるSaaSの動作に不具合が起こったら、通常は全てのユーザー企業に同じことが起きる。ベンダーは問題を検知して、システム全体での問題解決に取り組む。そのためユーザー企業が不具合に見舞われたとき、ベンダーに報告する必要はオンプレミスインフラより少ないとハーバート氏は話す。
使用中に何らかの問題が発生した場合、SaaSは完全に使用できなくなるのではなく、パフォーマンスが低下することが一般的だ。そうした状況では、ユーザー企業はそれがエンドユーザー側のインターネット接続の障害ではなく、ベンダー側の障害であることを証明する必要がある。
「ユーザー企業の調達部門がSaaSをインフラホスティングのように扱って、SLA違反時の罰則について主張するのは、よくある間違いの一つだ」。そう語るのはForresterでバイスプレジデント兼主席アナリストを務めるダンカン・ジョーンズ氏だ。SaaSベンダーとのSLAには、SaaSの実際の稼働状況は盛り込まれない。ベンダーの管轄外の原因によって、期待されるパフォーマンスが満たされなかった場合、ユーザー企業はサービス利用料の返金を受けることを期待すべきではない。
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SaaSのサービス品質保証契約(SLA)について考える
SaaSベンダー各社が用意するサービス品質保証契約(SLA)の内容は、そのSaaSが自社のニーズを満たしているかどうかを判断するための重要な要素となる。SLAの内容を確認する際のポイントについて説明する。
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