SaaSのSLA評価で気を付けたい「データ保護の責任」は誰にあるのか?SaaSのサービス品質保証契約(SLA)について考える【後編】

SaaSを比較検討するとき、サービス品質保証契約(SLA)の内容も重要な要素となる。SaaSベンダーとSLAを締結する際に確認すべきポイントを、カスタマイズ性とデータ保護の観点から紹介する。

2019年06月27日 05時00分 公開
[Alan R. EarlsTechTarget]
画像

 SaaS(Software as a Service)を使うことで、ユーザー企業はCPUやメモリといったコンピューティング、ストレージ、ネットワークなどの管理負担を軽減できる。だが、それは運用管理におけるベンダーへの依存度が高くなることを意味する。こうした状況でも安心して利用できるSaaSを選定するには、サービス品質保証契約(SLA)の内容を確認することが必要だ。

 今回は前編「SaaSのSLAで要確認 稼働率99.9%の根拠は? 返金されない条件は?」に引き続き、SaaSのSLAを評価する際に気を付けるべき4つのポイントのうち、残る2つを取り上げる。

ポイント3.SaaS特有のカスタマイズ性

 SaaSは一般的に、多様なニーズを満たすように設計されている。そのためユーザー企業はほとんどの場合、カスタマイズの必要なく、すぐにSaaSを導入できる。場合によってはエンドユーザーの属性によって、SaaSを段階的に利用できるようにすることが可能だ。

 Server StorageIO and UnlimitedIO(StorageIO)でシニアアドバイザリーアナリストを務めるグレッグ・シュルツ氏は、Googleのオフィススイート「G Suite」を例に挙げ「教育機関では学習者に基本バージョンの『G Suite』を、教員や研究者には、同サービスのもっと多くの機能を備えたバージョンを提供することができる」と話す。

 それでもSaaSをカスタマイズしたいと考える企業は少なからずある。SaaSのカスタマイズは総じて、オンプレミスのアプリケーションよりも容易だ。SaaSの基本的な特徴として、カスタマイズによる仕様変更のほとんどがバージョン間で持ち越される。この点がオンプレミスのアップグレードとは異なる。オンプレミスでは一般的に、アップグレードのたびにカスタマイズをやり直さなければならない。

 例えばSAPは、PaaS(Platform as a Service)の「SAP Cloud Platform」を通じて、同社の人事管理サービス「SAP SuccessFactors」に高度なカスタマイズ機能を提供している。企業はSaaSを評価する際、そのコストや言語サポートといった項目に加え、カスタマイズの機能を比較検討する必要がある。ただしカスタマイズ性は、SaaSのSLAに含まれないことが珍しくない。

ポイント4.データ保護のためのセキュリティとコンプライアンス

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ITmedia マーケティング新着記事

news006.jpg

「TikTok禁止」は結局、誰得? どうするトランプ氏――2025年のSNS大予測(TikTok編)
米国での存続を巡る議論が続く一方で、アプリ内ショッピングやAI機能の拡大など、TikTok...

news202.jpg

ネットの口コミを参考に8割超が商品を購入 最も参考にした口コミの掲載先は?
ホットリンクは、口コミ投稿の経験や購買への影響を調査した結果を発表した。

news071.jpg

「生成AIの普及でSEOはオワコン」説は本当か?
生成AIの普及によりSEOが「オワコン」化するという言説を頻繁に耳にするようになりました...