大手含む12のIaaSベンダーを比較、その長所と短所はクラウドのニッチな市場にも光あり(1/4 ページ)

IaaS(Infrastructure as a Service)市場は大手4社がけん引し続けている。だが、ベンダーは他にも存在する。最適なクラウドベンダーを見つける参考になる、クラウドベンダーの主な長所を本稿にまとめた。

2018年02月06日 05時00分 公開
[Jim O'ReillyTechTarget]
画像 大手だけではない、さまざまなベンダーを比較してみよう。

 IaaS市場は大手プロバイダー4社が支配している。Amazon Web Services(AWS)、Google、IBM、Microsoftの4社だ。この4社以外から本格的な競争に参入することはかなりの難易度となるが、もっと規模の小さいベンダーやニッチなベンダーの中にはそれぞれの分野に足場を築いているところもある。

 IaaSベンダーを決める前にこうした各社を比較することが重要となる。下記のリストには比較ポイントを幾つか掲載している。

 大手ではAmazon Web Services(AWS)、Google(Google Cloud Platform)、IBM(IBM Cloud)、Microsoft(Microsoft Azure)、Oracle(Oracle Cloud Platform)となる。

 小規模またはニッチな企業では1&1、Alibaba Cloud、CenturyLink、DigitalOcean、Huawei、OVH、Rackspaceを紹介する。

 ただし、このリストに載っていないIaaSベンダーもあるので注意が必要だ。例えば、PaaS(Platform as a Service)やSaaS(Software as a Service)に重点を置いているベンダーなどは含めていない。

大手IaaSベンダー

Amazon Web Services(AWS)

 Amazon Web ServicesはIaaSベンダーの先頭に立っている。調査会社Synergy Research Groupによると、2016年下期時点で約40%の市場シェアを獲得したという。同社はパブリックインフラを重視し続けているが、CIAやその他の米国政府機関向けにプライベートクラウドも構築している。また、2016年にはVMwareとパートナーシップ契約を結んだ。この契約により、ハイブリッドクラウドをより簡単に導入する方法がユーザーに提供される。

長所

 1.ハードウェアベンダーとの交渉において、その企業規模が大いに役立っている。AWSは事実上ハードウェア基盤の設計を指示することができる。同時に、設計ベンダーからは利益率を低く抑えた有利な価格が提供されている。

 2.インタフェースとAPI(Application Programming Interface)に関して多くの標準技術を推進している。この点の優位性はパブリッククラウド初期の頃から比べると低くなっている。だが、「Google Cloud Platform」や「Microsoft Azure(以下、Azure)」と比べて、その標準技術のおかげでAWSにはある程度の支配力がある。例えば、多くのベンダーがAWSの「Amazon Simple Storage Service(S3)」にインタフェースを準拠させようと努めている。

 3.190カ国以上に拠点がある。そのため、災害復旧とグローバル化について多くのオプションをユーザーに提供できる。

 4.ソフトウェア研究開発は非常に強力なものになっている。その結果、競合他社に負けないリッチなエコシステムを実現する。これは小売業から継続的に収益を得られる強みにも影響する。

短所

 1.Googleなど、AWSの競合企業が意欲的な価格モデルを導入しており、競争が激しくなっている。

 2.使用する全てのSSDをサードパーティーベンダーから購入している。これは、SSD市場の発展に伴い問題になる可能性がある。例えばGoogleはSSDを一部自社で対応している。

 3.AWSとVMwareによるサービス「VMware Cloud on AWS」はハイブリッドクラウド市場への参入が遅かった。そのため、Microsoftの「Azure Stack」のようなアプリケーション構築基盤との激しい競争を強いられる可能性がある。


Google

会員登録(無料)が必要です

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

       1|2|3|4 次のページへ

新着ホワイトペーパー

技術文書・技術解説 ドキュサイン・ジャパン株式会社

導入が進む一方で不安も、電子署名は「契約の証拠」になる?

契約業務の効率化やコストの削減といった効果が期待できることから、多くの企業で「電子署名」の導入が進んでいる。一方で、訴訟問題へと発展した際に証拠として使えるのかといった疑問を抱き、導入を踏みとどまるケースもあるようだ。

プレミアムコンテンツ アイティメディア株式会社

VMware「永久ライセンス」を継続する“非公認”の方法

半導体ベンダーBroadcomは仮想化ベンダーVMwareを買収してから、VMware製品の永久ライセンスを廃止した。その永久ライセンスを継続する非公認の方法とは。

市場調査・トレンド 株式会社QTnet

業種別の利用状況から考察、日本企業に適したクラウドサービスの要件とは?

システム基盤をオンプレミスで運用するか、データセンターやクラウドで運用するかは、業種によって大きく異なる。調査結果を基に、活用の実態を探るとともに、最適なクラウドサービスを考察する。

製品資料 発注ナビ株式会社

商談につながるリードをなぜ獲得できない? 調査で知るSaaSマーケの課題と対策

SaaSサービスが普及する一方、製品の多様化に伴い、さまざまな課題が発生している。特にベンダー側では、「商談につながるリードを獲得できない」という悩みを抱える企業が多いようだ。調査結果を基に、その実態と解決策を探る。

製品資料 株式会社ハイレゾ

GPUのスペック不足を解消、生成AIやLLMの開発を加速する注目の選択肢とは?

生成AIの活用が広がり、LLMやマルチモーダルAIの開発が進む中で、高性能なGPUの確保に問題を抱えている企業は少なくない。GPUのスペック不足を解消するためには、どうすればよいのか。有力な選択肢を紹介する。

From Informa TechTarget

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。

ITmedia マーケティング新着記事

news025.png

「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。

news014.png

「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。

news046.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。