取引先との共同作業をスムーズにするツールは「協働レベル」で見極めようパートナー企業との協働を成功に導く4つのステップ【前編】

取引先との共同作業をスムーズに進めるために、適切なコミュニケーションツールを選ぶのは重要な要素だ。ツール選定の指標となる「協働レベル」の考え方とは。

2022年04月04日 05時00分 公開
[Kevin TollyTechTarget]

 社外のパートナー企業と仕事をするときは、添付ファイルを含む膨大な量のメールでやりとりをするよりも、ファイル共有サービスやコミュニケーションツールを使ってやりとりをする方が望ましいものだ。パートナー企業との協働を成功させる鍵は、体系的なアプローチを採用し、ベストプラクティスを検討することだ。本稿は、パートナー企業との協働を成功に導くための4ステップを紹介する。

  1. “協働レベル”を検討し、適切なツールを選ぶ
  2. 特定のツールが使えない場合の代替策を検討する(後編で紹介)
  3. パートナー企業へのテクニカルサポートを整備する(後編で紹介)
  4. プロジェクト終了後の“後始末”をする(後編で紹介)

ステップ1.“協働レベル”を検討し、適切なツールを選ぶ

 パートナー企業との協働に役立つツールや手法はさまざまなものがある。あなたが自社からその選択権を与えられているのであれば、パートナー企業との作業に最も適したツールを選ぼう。必要な機能やサポート要件は協働の内容によって異なるため、選択肢もさまざまなレベルで複雑化する可能性がある。

 通常、パートナー企業との協働は、基本的なファイル共有から始まる。Dropbox社の「Dropbox」やMicrosoftの「OneDrive」などのクラウドサービスを利用すれば、ファイル共有に必要な機能を全て利用できる。有料サービスを利用する場合は、パートナー企業がそのサービスのアカウントを既に持っているかどうか、購入する意思があるかどうかを確認する必要がある。

 筆者は、製品とサービスの評価、検証サービスを提供するTolly Groupの創設者だ。筆者の個人的な経験では、Googleのファイル共有サービス「Google Drive」の利用を希望する相手が増えている印象がある。Google Driveを活用するメリットは、協働をするために十分な機能を無料で利用できることだ。

 ただし欠点が1つある。筆者が共同作業をした取引先は概して、企業のアカウントではなく、個人のアカウントでGoogle Driveを使っていた。企業の機密データを個人アカウントのGoogle Driveに保存することは、企業のセキュリティポリシーに違反する可能性がある。パートナー企業との協働に当たって個人アカウントでも使えるサービスの利用を考えている場合は、相手に「企業のメールアドレスでアカウントを利用してほしい」と依頼する必要がある。

 ファイル共有にとどまらず幅広い種類の共同作業をするチームは、Microsoftのユニファイドコミュニケーション(UC)システム「Microsoft Teams」(以下、Teams)を使うケースがある。Microsoftのオフィススイート「Microsoft 365」を既に導入している場合、サービス内容に含まれているTeamsを選択するのは自然な流れだ。TeamsはWeb会議機能だけでなく、ファイル共有やチャットの機能なども備える。

 さらに密接な協働体制を目指すと、自社の社内ネットワークに接続させるためにVPNの権限をパートナー企業に提供する必要が生じることもある。この場合はパートナー企業のために、自社の拠点にVPNゲートウェイを設置し、VPNクライアントにトンネルソフトウェアを搭載して、プライベートネットワークに外部からアクセスできるようにする。


 後編は、パートナー企業との協働をスムーズにするために必要な準備と、協働が終わった後の後始末について解説する。

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