ユニファイドコミュニケーション(UC)ベンダーは、リモートの参加者と会議室からの参加者が混在する「ハイブリッド会議」の動向を踏まえた機能強化を進めている。UC市場の雄、ZoomとMicrosoftの製品戦略は。
第3回「電子黒板(IWB)が『今後売れる』と専門家が断言する理由」に続く第4回となる本稿は、「ハイブリッド会議」を取り巻く市場動向を整理する。ハイブリッド会議は、リモートの参加者と会議室からの参加者が混在する会議のことだ。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)の少し前、会議文化の変化とともに「ハドルルーム」(少人数向け会議室)の利用拡大というトレンドが注目を集めていた。COVID-19対策が重要となった今、そのような密接空間に集まるのは得策ではなくなった。
ブームの全盛期にベンダーが市場に展開した「ハドルルーム用キット」には、Webカメラやスピーカーフォンなどの遠隔会議用設備が含まれていた。調査会社Let's Do Videoの創業者でCEOのデビッド・マルドウ氏は「ハイブリッド会議室システムとして、これらのハドルルーム用設備を再利用できる」と語る。
ユニファイドコミュニケーション(UC)ベンダーはハイブリッド会議の拡大動向に商機を見いだし、会議室用システムやハードウェアに加えて、仮想的なホワイトボードを実現する「ホワイトボードアプリケーション」に関連する製品強化に力を入れている。
例えばZoom Video Communicationsの会議室用テレビ会議アプライアンス「Zoom Rooms」は、同社のWeb会議ツール「Zoom」とは異なる機能を持っている。Zoom Roomsは会議室からホワイトボードアプリケーションをはじめとするソフトウェアを操作でき、タッチディスプレイを搭載した「インタラクティブホワイトボード」(IWB、「電子黒板」とも)のようなハードウェアとも連携する。
Microsoftは2021年9月、ホワイトボードアプリケーション「Microsoft Whiteboard」を刷新した。テレワークとオフィスワークを組み合わせた業務形態「ハイブリッドワーク」向けのビジュアルコラボレーションワークスペースとしての機能を強化している。
「今後、企業がオフィス設計を見直してコラボレーションスペースを刷新する前に、オフィスの全体的な目的を定義しておく必要がある」。調査会社Metrigyのプレジデント兼プリンシパルアナリストを務めるアーウィン・レザー氏は、こう強調する。
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