「HCI」はコンピューティングやストレージのリソースを個別に拡張できないことが基本だったが、その基本が変わりつつある。どのようなHCIが市場の中心になるのか、直近の動きを追う。
「ハイパーコンバージドインフラ」(HCI)は基本的にリソースを個別に拡張できない。ストレージやコンピューティングのリソースが1つの筐体(きょうたい)に組み込まれているため、何か1つのリソースを増強したい場合でも、全てを追加することが前提になってしまう。
ただしそれは“基本”の話だ。HCIベンダーは「拡張しにくさ」を解決する方法を提供し始めている。
HCI市場においてVMwareやNutanixに後れを取ったベンダーは、サーバとストレージを個別に拡張できる分離型HCIを投入した。これに該当する製品は、Hewlett Packard Enterprise(HPE)の「HPE Nimble Storage dHCI」や、NetAppの「NetApp HCI」などがある。こうした分離型HCIは、VMware、Nutanix、Dell EMCといったHCIベンダーの牙城を崩すには至っていない。
ただし古株のHCIベンダーも分離型の仕組みに注目している。VMwareは、vSANのクラスタ外のストレージリソースを利用できるようにする「vSAN HCI Mesh」という機能を追加した。この機能によって、ユーザーはHCIのクラスタ間でストレージ容量を共有可能になった。つまりユーザーはノードを追加で購入することなく、他のクラスタで余っているストレージのリソースを利用できるようになった。
VMwareが2021年に公開した「VMware vSAN 7 Update 2」は、vSAN HCI Meshの幾つかの機能を拡張した。このアップデートで、vSANクラスタ外にあるサーバとvSANのリソースを共有することが可能になった。以前のバージョンでは、vSAN HCI MeshによってvSANのデータストアを利用できる最大ノード数は64台だったが、これが128台まで増加したことも変更点の一つだ。
vSANを搭載するHCIアプライアンス「Dell EMC VxRail」(VxRail)は、vSAN HCI Meshによって外付けストレージをクラスタのリソースとして使えるようになった。例えば「Dell EMC PowerStore」「Dell EMC PowerMax」「Dell EMC Unity」といったストレージアレイをVxRailのクラスタに接続できる。
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