データ量を示す単位である「バイト」。その名前はどのように生まれたのか。よく目にするようになった「テラバイト」(TB)は、どの程度の大きさなのか。これらの疑問に答えよう。
企業や個人は膨大な量のデータを生成するようになるにつれて、データの量を表すさまざまな単位を目にするようになった。キロバイト(KB)、メガバイト(MB)、ギガバイト(GB)――。「バイト」(Byte)という単位の前にさまざまな接頭辞が付いてデータ量の大きさを表す。近年、特に身近になったテラバイト(TB)は、ビッグデータ時代を代表する言葉の一つだと言える。
2007年に日立グローバルストレージテクノロジーズ(現HGST)が、当時としては異例となる容量1TBのHDDを発売した。今やHDDかSSDかを問わずTB規模の容量は当たり前になるなど、ストレージの進化は著しい。一方で「1TBは実際、どのくらい大きいのか」と聞くと、首をかしげる人がいる。TBを理解するには、他の単位と比較して考えるのが近道だ。
ほとんどのコンピュータでは通常、1バイトは8bit(ビット)だ。ビットはバイナリディジット(Binary Digit:2進数字)の略語。0または1の2進値を持つ、コンピュータにおけるデータの最小単位だ。メモリは通常、1つのメモリセル(データの記録素子)に1または0に応じた所定量の電荷(物体が帯びる電気量)を蓄えることにより、値を記憶する。
ノースカロライナ大学チャペルヒル校(University of North Carolina at Chapel Hill)コンピュータサイエンス学部創設者のフレッド・ブルックス氏(注1)は、故ワーナー・ブッフホルツ氏がIBM在籍時にバイトという言葉を考案したと説明する。ブルックス氏によると、ブッフホルツ氏は1956年に、スーパーコンピュータの起源だといわれる「IBM 7030」の設計に携わっていたときに、バイトを考え出した。IBM 7030は、IBMとして初めてトランジスタを使って構築したコンピュータだ。
※注1:ソフトウェア工学の古典的な名著『The Mythical Man-Month: Essays on Software Engineering』(日本語版は『人月の神話』)の著者。IBMのコンピュータ事業の草創期におけるハードウェアアーキテクトで、同社のメインフレーム「System/360」のOS開発でプロジェクトマネジャーを務めた。
TBに話を戻そう。1TBは1024GBに等しい。1GBは1024MB、1MBは1024KB、1KBは1024バイトだ。言い方を変えれば、1TBは1兆995億1162万7776バイトとなり、これは10億7374万1824KB、104万8576MBに等しい。
現在販売されているメモリやストレージでは、容量の単位はTBが最大だ。TBより大きい単位として、ペタバイト(PB)、エクサバイト(EB)、ゼタバイト(ZB)、ヨタバイト(YB)、ブロントバイト(BB)などがある。PB規模の記憶装置が登場するのは、時間の問題だ。
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