オムニアンテナ、指向性アンテナ、八木アンテナ、パラボラアンテナの特徴を視覚的に紹介し、無線LANにどのようなメリットを提供するかを解説する。
アンテナをアップグレードすることによって、パフォーマンス、通信距離、セキュリティを改善することができる。「無線LANアンテナを理解する PART1」でも説明したように、802.11製品に装備されたダイポールアンテナは、アンテナの軸を中心にすべての方向に信号を放射する。単体で販売されているアンテナは、送信電波を狭い範囲に集中させ、不要な方向への信号を減少させることによって必要な方向への出力を増大させる。
オムニ(無指向性)アンテナはダイポールアンテナと同様、水平方向に360度にわたって信号を放射する。オムニアンテナは信号を平たん化することによってゲインを増大させ、形成される垂直ビームの幅は80度(低ゲイン)~7度(高ゲイン)となる(図1)。ゲインが高ければ信号の到達距離が長くなる。例えば、Ciscoの「5.2dBi Ceiling Omni」アンテナの垂直ビーム幅は40度で、屋内通信距離は最大397フィート(約120m)だ。
指向性アンテナは、水平面と垂直面の両方で信号を絞り込む。パッチアンテナは平面型の指向性アンテナで、壁面や天井面に設置される。このタイプのアンテナは半球状のカバレッジを形成し、設置ポイントから30~180度の幅で信号を放射する(図2)。信号が小さな範囲に集中することで長い通信距離が得られる。例えば、Ciscoの「9.5 dBi Patch」アンテナは水平50度/垂直43度のビーム幅で、屋内通信距離は最大1030フィート(約310メートル)となっている。HyperGainの「14 dBi Patch」アンテナのビーム幅は、水平30度/垂直30度とさらに狭い。
八木アンテナはゲインが高い指向性アンテナだ。八木アンテナのシリンダー内には垂直の細いロッドを支えるブームが入っている。信号は膨らんだ風船ガムのような形で放射される(図3)。信号の一部はブームの後ろ側にも放射される(バックローブ)。八木アンテナは、ビーム幅をさらに狭くする(水平20~80度、垂直14~64度)ことにより、高いゲインを生み出す。具体的な製品としては、HyperGainの「14.5 dBi Yagi」(水平30度/垂直30度)やCiscoの「13.5 dBi Yagi」(水平30度/垂直25度、屋外通信距離:最大約30km)などがある。
パラボラディッシュアンテナやグリッドパラボラアンテナは、お碗形あるいはくぼんだパネルのような形状をしており、非常に幅の狭いビーム(水平垂直方向ともに4~25度)を放射する。ちょうどロケットの噴射口から排気が噴出するような感じである(図4)。このタイプの製品としては、HyperGainの「24 dBi Grid」(水平/垂直8度)やCiscoの「21dBi Dish」(水平/垂直12.4度、屋外通信距離:最大約40km)などがある。
各種アンテナの特徴を述べてきたが、ではこれらのアンテナはどのような場所で使えばいいのだろうか。
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