普段意識せずに使っている無線LANのアンテナについて、3回にわたって解説する。アンテナをアップグレードすることで、パフォーマンス、通信距離、セキュリティを改善できる。
無線LANユーザーの多くは、アンテナの存在を意識したりはしない。802.11ベースのPCカードやルータに付属するアンテナをその存在も知らぬまま利用し、速度が落ちたり信号が弱くなったりするとメーカーを呪う。だが、アンテナをアップグレードすることによって、パフォーマンス、通信距離、セキュリティを改善できるのだ。まずはアンテナの仕組みを理解しよう。
無線装置は特定の周波数で信号を生成する。アンテナは特定のパターンでこの信号を空中に拡散(波及)させる。
802.11製品に含まれるアンテナの多くは無指向性アンテナであり、アンテナの軸を中心にすべての方向に信号を放射する。別売部品として提供されている指向性アンテナは、特定の方向に放射することによって送信電波を狭い範囲に集中させる。
水がいっぱい入った直径15センチの風船を思い浮かべていただきたい。この風船を机の上に置く。風船の底部は平らになり、周囲が少し広がるはずだ。この風船を上から手でギュッと押さえてみよう。一定の容積の水を水平方向に集めることにより、この風船は20センチ離れた物体に接触できるようになる。今度は風船を10×25センチの靴箱に押し込んでみる。球形が崩れ、1方向(箱の幅方向)に収縮することにより、この風船はもう一方の方向(箱の長さ方向)にさらに伸びることができる。
これと同じ原理がアンテナにも当てはまる。指向性アンテナは、所与の出力に対して信号が放射される方向を狭めることによって、信号の到達距離を伸ばす。この方法が効果的なのは、ビルが球形ではなく、靴箱のような形をしているからだ。信号を社内に集中すれば、AP(アクセスポイント)の出力をより効率的に利用できるのだ。社内のステーションが受信する信号の強度が高まり、結果的に速度が向上する。必要な場所に信号を向けることは、不要な場所では信号が弱くなることも意味する。つまり、会社の外にあるステーションには信号が届きにくくなるのだ。
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