「Azure Blob Storage」と「Azure Data Lake Storage」はどちらも「Microsoft Azure」のストレージサービスだ。両サービスにはどのような違いがあるのか。用途や機能の違い、利用時の注意点を説明する。
Microsoftのクラウドサービス群「Microsoft Azure」では、複数のクラウドストレージサービスの選択ができる。「Azure Blob Storage」と「Azure Data Lake Storage」の機能と特徴には、それぞれ異なる点と共通する点がある。
Azure Blob Storageは、大容量のストレージを必要とするワークロード(アプリケーション)向けのオブジェクトストレージサービスだ。一方でAzure Data Lake Storageは、主にビッグデータ分析のためのワークロードを対象としたストレージサービスだ。Azure Blob StorageとAzure Data Lake Storageには、それぞれ適した利用状況や想定されている用途がある。
Azure Blob Storageは、テキストやビデオ、写真、アプリケーションなどのデータやバックアップデータなど、大量の非構造化データの保存に適している。Azure Blob Storageは次のような用途で利用できる。
Azure Data Lake Storageは以前、2024年2月時点で、「Gen1」と「Gen2」が稼働していた。Microsoftは2024年2月29日にData Lake Storage Gen1を廃止したため、Gen1を使用しているユーザーはデータをGen2へ移行する必要がある。
Azure Data Lake Storage Gen1は、ビッグデータ分析ワークロードに最適化されたストレージサービスだった。システムのログファイルや、ストリーミング分析(連続して生成され続けるデータをリアルタイムで解析すること)に必要な大量のデータを保存できることが特徴だ。十分なデータ処理速度と帯域幅を必要とする大規模な分析システムを実行できるように、システムがチューニングされている。
Azure Data Lake Storage Gen2は、Gen1の機能と性能をAzure Blob Storageの技術をベースに実現したサービスだ。Gen1と同等の機能やセキュリティを備えたストレージシステムを、Azure Blob Storageに構築している。
Azure Blob Storageは、データを安全に保つための機能や冗長性を備えたストレージだ。データは全て暗号化され、さまざまなアクセス制御機能が利用できる。
Azure Blob Storageを利用するときの注意点の一つとして、多額のデータ転送料金が発生する可能性があることが挙げられる。データ転送の読み取りや書き込みのための料金に加えて、読み取り/書き込み操作の回数に応じた料金、インデックス作成料金、ファイル転送プロトコル(SFTP)の利用料金、geoレプリケーションデータの転送料金(別のAzureリージョンにデータをレプリケーションするときの料金)などが加算される。一つ一つの処理の料金は数セント程度だが、数十万件のデータ転送を実行する場合、これらの費用はすぐに増大する。
Azure Data Lake Storageには、ペタバイト(PB)規模のデータを迅速に転送したり分析したりできるというメリットがある。ユーザー企業は、ストレージとコンピューティングサービスをそれぞれ独立させて拡張できる。オブジェクト単位でストレージを階層化して、コストを削減することも可能だ。
Azure Blob StorageとAzure Data Lake Storageは、いずれも月間の保存データ量や実行される操作の回数と種類、選択したオプションに基づく従量制の料金設定となっている。
1年または3年契約で、月間100TBまたは1PB単位でサービスを購入する予約容量オプションを選択して、コストを節約することも可能だ。一定の容量のストレージを長期間利用することが確定している企業や、アーカイブデータやバックアップデータなど、アクセス頻度が低いデータを保管する企業に適している。
Azure製品やサービスを複数使用しているユーザー企業は、Azureの料金計算ツールを使用して正確な価格を確認した方がよい。
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