「Azure Blob Storage」と「Azure Data Lake Storage」のいまさら聞けない違いAzureのクラウドストレージを比較

「Azure Blob Storage」と「Azure Data Lake Storage」はどちらも「Microsoft Azure」のストレージサービスだ。両サービスにはどのような違いがあるのか。用途や機能の違い、利用時の注意点を説明する。

2024年03月01日 05時00分 公開
[Julia BorginiTechTarget]

 Microsoftのクラウドサービス群「Microsoft Azure」では、複数のクラウドストレージサービスの選択ができる。「Azure Blob Storage」と「Azure Data Lake Storage」の機能と特徴には、それぞれ異なる点と共通する点がある。

 Azure Blob Storageは、大容量のストレージを必要とするワークロード(アプリケーション)向けのオブジェクトストレージサービスだ。一方でAzure Data Lake Storageは、主にビッグデータ分析のためのワークロードを対象としたストレージサービスだ。Azure Blob StorageとAzure Data Lake Storageには、それぞれ適した利用状況や想定されている用途がある。

「Azure Blob Storage」「Azure Data Lake Storage」の主な用途と違い

 Azure Blob Storageは、テキストやビデオ、写真、アプリケーションなどのデータやバックアップデータなど、大量の非構造化データの保存に適している。Azure Blob Storageは次のような用途で利用できる。

  • アプリケーションのインストールやアップグレードのためのファイルをアプリケーションデータと分けて保存する。
  • ストリーミング再生するための映像や音声を保存する。
  • DR(災害復旧)やアーカイブのためのバックアップデータを保存する。
  • アプリケーションのバックエンドファイルといったバイナリデータを保存する。

 Azure Data Lake Storageは以前、2024年2月時点で、「Gen1」と「Gen2」が稼働していた。Microsoftは2024年2月29日にData Lake Storage Gen1を廃止したため、Gen1を使用しているユーザーはデータをGen2へ移行する必要がある。

 Azure Data Lake Storage Gen1は、ビッグデータ分析ワークロードに最適化されたストレージサービスだった。システムのログファイルや、ストリーミング分析(連続して生成され続けるデータをリアルタイムで解析すること)に必要な大量のデータを保存できることが特徴だ。十分なデータ処理速度と帯域幅を必要とする大規模な分析システムを実行できるように、システムがチューニングされている。

 Azure Data Lake Storage Gen2は、Gen1の機能と性能をAzure Blob Storageの技術をベースに実現したサービスだ。Gen1と同等の機能やセキュリティを備えたストレージシステムを、Azure Blob Storageに構築している。

Azure Blob StorageとAzure Data Lake Storageのメリットと、利用時の注意点

 Azure Blob Storageは、データを安全に保つための機能や冗長性を備えたストレージだ。データは全て暗号化され、さまざまなアクセス制御機能が利用できる。

 Azure Blob Storageを利用するときの注意点の一つとして、多額のデータ転送料金が発生する可能性があることが挙げられる。データ転送の読み取りや書き込みのための料金に加えて、読み取り/書き込み操作の回数に応じた料金、インデックス作成料金、ファイル転送プロトコル(SFTP)の利用料金、geoレプリケーションデータの転送料金(別のAzureリージョンにデータをレプリケーションするときの料金)などが加算される。一つ一つの処理の料金は数セント程度だが、数十万件のデータ転送を実行する場合、これらの費用はすぐに増大する。

 Azure Data Lake Storageには、ペタバイト(PB)規模のデータを迅速に転送したり分析したりできるというメリットがある。ユーザー企業は、ストレージとコンピューティングサービスをそれぞれ独立させて拡張できる。オブジェクト単位でストレージを階層化して、コストを削減することも可能だ。

Azure Blob StorageとAzure Data Lake Storageの料金体系

 Azure Blob StorageとAzure Data Lake Storageは、いずれも月間の保存データ量や実行される操作の回数と種類、選択したオプションに基づく従量制の料金設定となっている。

 1年または3年契約で、月間100TBまたは1PB単位でサービスを購入する予約容量オプションを選択して、コストを節約することも可能だ。一定の容量のストレージを長期間利用することが確定している企業や、アーカイブデータやバックアップデータなど、アクセス頻度が低いデータを保管する企業に適している。

 Azure製品やサービスを複数使用しているユーザー企業は、Azureの料金計算ツールを使用して正確な価格を確認した方がよい。

TechTarget発 先取りITトレンド

米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

鬮ォ�エ�ス�ス�ス�ス�ス�ー鬯ィ�セ�ス�ケ�ス縺、ツ€鬩幢ス「隴取得�ス�ク陷エ�・�ス�。鬩幢ス「�ス�ァ�ス�ス�ス�、鬩幢ス「隴主�讓滂ソス�ス�ス�ス鬩幢ス「隴趣ス「�ス�ス�ス�シ鬩幢ス「隴乗��ス�サ�ス�」�ス�ス�ス�ス

製品資料 レノボ・エンタープライズ・ソリューションズ合同会社

マンガで分かる:オンプレミスとクラウドの“二重管理”を解消する方法

インフラのハイブリッドクラウド化を進める一方、オンプレミスとクラウドを管理するためのツールが異なるため、“二重管理”が発生している企業は少なくない。これでは運用負荷は高まるばかりだ。そこでこの状況を解消する方法を解説する。

市場調査・トレンド フリー株式会社

調査レポートから徹底分析、急速に増加するSaaS導入企業の実態と新たな課題

SaaSの普及により、企業の情報システムは大きく変化した。リモートワークやDX推進が加速する一方、情報システム部門には負担がかかり、セキュリティリスクも増すこととなった。調査レポートから、今後の“在り方”について考察する。

製品資料 株式会社マヒト

低価格かつ高品質な名刺を作成する名刺発注サービス、その9つの特長とは?

ビジネスパーソンに欠かせない名刺だが、作成/発注業務は意外と手間がかかるため、担当者の負担になっていることも少なくない。そこで、名刺の作成から注文までの全工程をWeb上で完結し、業務を効率化する名刺発注サービスを紹介する。

技術文書・技術解説 ドキュサイン・ジャパン株式会社

導入が進む一方で不安も、電子署名は「契約の証拠」になる?

契約業務の効率化やコストの削減といった効果が期待できることから、多くの企業で「電子署名」の導入が進んでいる。一方で、訴訟問題へと発展した際に証拠として使えるのかといった疑問を抱き、導入を踏みとどまるケースもあるようだ。

プレミアムコンテンツ アイティメディア株式会社

VMware「永久ライセンス」を継続する“非公認”の方法

半導体ベンダーBroadcomは仮想化ベンダーVMwareを買収してから、VMware製品の永久ライセンスを廃止した。その永久ライセンスを継続する非公認の方法とは。

鬩幢ス「隴主�蜃ス�ス雜」�ス�ヲ鬩幢ス「隰ィ魑エツ€鬩幢ス「隴趣ス「�ス�ス�ス�シ鬩幢ス「�ス�ァ�ス�ス�ス�ウ鬩幢ス「隴趣ス「�ス�ス�ス�ウ鬩幢ス「隴趣ス「�ス�ソ�ス�ス�ス雜」�ス�ヲ鬩幢ス「隴趣ス「�ス�ソ�ス�スPR

鬩幢ス「�ス�ァ�ス�ス�ス�ッ鬩幢ス「隴趣ス「�ス�ス�ス�ゥ鬩幢ス「�ス�ァ�ス�ス�ス�ヲ鬩幢ス「隴守甥諢幢ソス�ス�ス�エ�ス�ス�ス�サ鬯ィ�セ陋ケ�ス�ス�ス�ス�ィ鬩搾スオ�ス�コ�ス�ス�ス�ァ鬯ッ�ッ闔ィ諛会スセ蟷�スォ�ス�ス�ス鬮ッ蜈キ�ス�ケ髫ー雋サ�ス�カ髫ィ蛛�スソ�ス�ス�ケ�ス�ァ髣包スオ隴擾スエ�ス�スホ費ソス�ァ�ス�ス�ス�ケ鬩幢ス「隴乗��ス�コ�ス�・�ス�ス�ス�「髫イ�、隲幢スカ�ス�ス�ス�、�ス�ス�ス�ァ鬩搾スオ�ス�コ�ス�ス�ス�ィ鬮ョ雜」�ス�「�ス�ス�ス�サ鬯ィ�セ陋ケ�ス�ス�ス�ス�ィ鬩幢ス「�ス�ァ�ス�ス�ス�ケ鬩幢ス「�ス�ァ�ス�ス�ス�ュ鬩幢ス「隴趣ス「�ス�ス�ス�ォ鬮」蛹�スス�ウ髯晢ソス髮懶ス」�ス�ス�ス�カ�ス�ス�ス�ウ鬩搾スオ�ス�コ�ス�ス�ス�ョ鬯ョ�ォ�ス�ア�ス�ス�ス�イ鬯ッ�ッ闔ィ諛カ�ス�セ陋滉サーツ€驕カ謫セ�ス�ャ�ス�ス�ス�ァ�ス�ス�ス�」鬮ョ謇具スカ�」�ス�ス�ス�コ鬩搾スオ�ス�コ�ス�ス�ス�ョ鬮ョ謇具スカ�」�ス�ス�ス�コ鬩幢ス「�ス�ァ驕カ謫セ�ス�オ髴取コス蝮ゥ�ス�ク�ス�コ�ス�ス�ス�ッ�ス�ス�ス�ス�ス�ス�ス�ス

鬩幢ス「�ス�ァ�ス�ス�ス�ッ鬩幢ス「隴趣ス「�ス�ス�ス�ゥ鬩幢ス「�ス�ァ�ス�ス�ス�ヲ鬩幢ス「隴守甥諢幢ソス�ス�ス�エ�ス�ス�ス�サ鬯ィ�セ陋ケ�ス�ス�ス�ス�ィ鬩搾スオ�ス�コ�ス�ス�ス�ァ鬯ッ�ッ闔ィ諛会スセ蟷�スォ�ス�ス�ス鬮ッ蜈キ�ス�ケ髫ー雋サ�ス�カ髫ィ蛛�スソ�ス�ス�ケ�ス�ァ髣包スオ隴擾スエ�ス�スホ費ソス�ァ�ス�ス�ス�ケ鬩幢ス「隴乗��ス�コ�ス�・�ス�ス�ス�「髫イ�、隲幢スカ�ス�ス�ス�、�ス�ス�ス�ァ鬩搾スオ�ス�コ�ス�ス�ス�ィ鬮ョ雜」�ス�「�ス�ス�ス�サ鬯ィ�セ陋ケ�ス�ス�ス�ス�ィ鬩幢ス「�ス�ァ�ス�ス�ス�ケ鬩幢ス「�ス�ァ�ス�ス�ス�ュ鬩幢ス「隴趣ス「�ス�ス�ス�ォ鬮」蛹�スス�ウ髯晢ソス髮懶ス」�ス�ス�ス�カ�ス�ス�ス�ウ鬩搾スオ�ス�コ�ス�ス�ス�ョ鬯ョ�ォ�ス�ア�ス�ス�ス�イ鬯ッ�ッ闔ィ諛カ�ス�セ陋滉サーツ€驕カ謫セ�ス�ャ�ス�ス�ス�ァ�ス�ス�ス�」鬮ョ謇具スカ�」�ス�ス�ス�コ鬩搾スオ�ス�コ�ス�ス�ス�ョ鬮ョ謇具スカ�」�ス�ス�ス�コ鬩幢ス「�ス�ァ驕カ謫セ�ス�オ髴取コス蝮ゥ�ス�ク�ス�コ�ス�ス�ス�ッ�ス�ス�ス�ス�ス�ス�ス�ス (2025/5/9)

From Informa TechTarget

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。

「Azure Blob Storage」と「Azure Data Lake Storage」のいまさら聞けない違い:Azureのクラウドストレージを比較 - TechTargetジャパン クラウド 髫エ�ス�ス�ー鬨セ�ケ�つ€鬮ォ�ェ陋滂ソス�ス�コ�ス�ス

TechTarget驛「�ァ�ス�ク驛「譎「�ス�」驛「譏懶スサ�」�趣スヲ 髫エ�ス�ス�ー鬨セ�ケ�つ€鬮ォ�ェ陋滂ソス�ス�コ�ス�ス

鬩幢ス「隴取得�ス�ク陷エ�・�ス�。鬩幢ス「�ス�ァ�ス�ス�ス�、鬩幢ス「隴主�讓滂ソス�ス�ス�ス鬩幢ス「隴趣ス「�ス�ス�ス�シ鬩幢ス「隴乗��ス�サ�ス�」�ス�ス�ス�ス鬩幢ス「隴趣ス「�ス�ス�ス�ゥ鬩幢ス「隴趣ス「�ス�ス�ス�ウ鬩幢ス「�ス�ァ�ス�ス�ス�ュ鬩幢ス「隴趣ス「�ス�ス�ス�ウ鬩幢ス「�ス�ァ�ス�ス�ス�ー

2025/05/13 UPDATE

ITmedia マーケティング新着記事

news025.png

「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。

news014.png

「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。

news046.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。