電気自動車のレース「フォーミュラE」に出場するPorscheのチームは、データを管理するための仕組みの一つとして「Azure Blob Storage」を利用している。何がメリットになっているのか。
Microsoftのクラウドサービス群「Microsoft Azure」のオブジェクトストレージサービス「Azure Blob Storage」は、電気自動車のレース「ABB FIA Formula E World Championship」(以下、フォーミュラE)で、どのように使われているのか。フォーミュラEの出場チームTAG Heuer Porsche Formula E Team(以下、Porsche Formula E Team)は、データの管理にハイブリッドクラウド(オンプレミスインフラとクラウドサービスを併用する構成)を構築。その仕組みの一つにAzure Blob Storageを利用している。
2023年2月にストレージベンダーNetAppがドイツで開催したイベントで、自動車メーカーDr. Ing. h.c. F. Porsche(以下、Porsche)でモータースポーツ分野におけるIT責任者を務めるフリーデマン・クルツ氏が講演した。「Azure Blob Storageは料金が安い。課金は主にデータの入出力の際に発生する」とクルツ氏は語る。
PorscheはNetAppのソフトウェア「Global File Cache」(GFC)を使用している。GFCは、さまざまな場所に分散しているファイルサーバをクラウドサービスに集約し、一元管理する機能を持つ。クルツ氏は「例えば2週間アクセスがないデータをAzure Blob Storageに移動してくれる」と説明する。
Azure Blob Storageからデータを取り出す際の待ち時間について「異常を感じるような時間の長さではない」とクルツ氏は説明する。「Azure Blob Storageを全体的に見た上でのメリットは、メンテナンスへのコストが少なく済むことだ。現場にエンジニアが1人いれば、クラウドサービスへの接続が実現する。エンジニア全員が集まって取り組む必要はない」とも同氏は述べる。
クルツ氏はPorsche Formula E Teamの活用例を「中小企業規模の事業だが、それ以上の規模の事業にも拡張できると考えている」と話す。「拡張できない理由はない」とクルツ氏は強調する。世界中で事業を展開し、Porscheと同じような要件を持ち、クラウドサービスを使ったデータ管理を実施する組織を配下に持つ企業では、その規模に応じて削減できるコストは大きくなる可能性がある。
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