データ管理部門は完璧なデータ管理を強いられている。彼らをこの「不可能への挑戦」から解放し、データ品質を向上させるにはどうすればいいのか。
共通のテーマは、ビジネスの責任者がデータの正確性確保のために力をどの程度注いでいるかだ。感覚としては、多くの企業はビジネスに最も不可欠なデータに力を入れて取り組んでいない。とはいえ、この状況は変わりつつあるという証拠がある。多くの企業が、データの精度を100%に高めるのは難しく、コストがかかることを認識し始めている。
TIBCO Softwareのロリ・ビッツエル氏(分析およびデータ管理部門リサーチディレクター)は言う。「昔から、データの品質はIT部門が主導するリスクとコストの管理技術で、重複排除によってストレージとデータ移動のコストを削減し、GDPR(一般データ保護規則)やCOPPA(児童オンラインプライバシー保護法)などの規制への準拠を正確に管理してきた。だが、ビジネスの利害関係者がプロジェクトのスコープやセルフサービスに力を注げるようにデータ品質を民主化するのが新しいトレンドになっている」
ビッツエル氏によると、こうした変化はデータ管理部門が「不可能への挑戦」から脱却するのに伴うものだという。
「データ管理部門全体でデータ品質の完璧さを追求するのではなく、重要な洞察に必要なデータだけに範囲を絞り込む。顧客のエクスペリエンスを向上させる価値が高いのであれば、顧客エンゲージメントを中心とする360度ビューと顧客の各種IDを統合するデータ品質プロジェクトが必要だ」
自動的に不一致を検出して解決するスマートなマスターデータ管理がなければ、顧客に関する360度ビューを構築するのは難しい。
「『ゴールデンレコード』を構築すれば、データの仮想化によって顧客エクスペリエンスの向上に必要な360度ビューを備える分析ワークフローを提供できる」
当然、そこに至るには幾つか前提がある。データを民主化して機能させるには、組織全体にある程度のデータリテラシーが必要だ。データサイエンティストが不足していること(それなのに、多数の企業がデータサイエンティストのスキルを使って日常業務を遂行していること)を考えれば、部門別のデータトレーニングの必要性は高くなる。だがそれには時間がかかり、それが全体的な問題の根源ではないのが実情だ。
積極性とリーダーシップの不足は、データ基盤を不十分にする。その結果、データ維持の試みが弱体化し、火消し作業に追われ、避けられない結果を招くことになる。
Talendのパトリック・ペイノイト氏(製品マネジャー)も、より積極的な取り組みの必要性を支持する。
「社内、クラウド、Web、モバイルの全アプリケーションのデータを監視するのは大掛かりな仕事になる。システム全体に監視を広げるには、データを処理する全工程にデータ品質のプロセスと制御を組み込むしかない。これが、データの量や種類の増加につれてデータ品質のプロセスを広げていくことにも役立つ可能性がある」
TIBCOのビッツエル氏と同様、ペイノイト氏もデータの民主化に向けて組織内コラボレーションの強化が必要だが、データを最も必要とする業務用にデータを調整していない企業があまりにも多いと考えている。基幹業務部門間や基幹業務部門とIT部門のコラボレーションに問題があることは、各部門が適切なデータを保有していないだけでなく、データを理解できずデータを信頼できない状態になることを意味する。
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