開発段階のプロトタイプラズパイ、雑誌に添付されたラズパイPico、国際宇宙ステーションで超小型衛星に組み込まれたラズパイなど、ラズパイ10年の歴史を写真で振り返る。
2012年に25ポンド(訳注)で発売された「Raspberry Pi」は真っさらな白紙のようなもので、何でもできるプログラミング可能なハードウェアプラットフォームだった。
訳注:2012年当時のレート(1ポンド約126円)で約3150円。なお、輸入代理店を通した国内販売価格は5000円前後だった。
Raspberry Pi財団のCEO兼創業者のエベン・アプトン氏(写真)は、Raspberry Piの成功について次のように語っている。「利益を出すつもりはなかった。だが、利益が生まれてRaspberry Pi財団の支えとなり、可能な慈善活動が増えている」
下の写真は、Veroboard(またストリップボード)で作られたRaspberry Piの初期プロトタイプだ。
「人々は当初、Raspberry Piを風変わりなLinuxコンピュータにすぎないと思っていた」
Raspberry Piの設計者たちは、Linuxコミュニティーとインターネットを利用できることに気付いた。アプトン氏は、インターネットがLinuxの成長の原動力になったと信じている。「LinuxはインターネットのOSだ。そして、インターネットによってLinuxが有用になっている」
インターネットで検索すればRaspberry Piについての疑問の答えが得られる。それがRaspberry Piの普及を後押しした。
Raspberry Piは、1980年代の家庭用コンピュータで育った人々に影響を与えている。
デービッド・プライド氏も、初代Raspberry Piに刺激を受けた人の一人だ。同氏は1986年に経済学でOレベル(訳注:英国の現在の中等教育修了資格)を取得後、正規の教育を離れた。しかし最近博士号を取得し、現在は英オープン大学(訳注:英国の通信制公立大学)のKnowledge Management Instituteで研究員として働いている。
プライド氏は妻と共に、第2次世界大戦中に暗号解読の拠点となったブレッチリー・パークにあるTNMOC(The National Museum of Computing)を訪れた。そこには天才エンジニア、トミー・フラワーズ氏が設計した暗号解読コンピュータ「Colossus」が展示されている。だが同氏の想像力をかきたてたのは、数日後に開催される「Raspberry Jam」(訳注:Raspberry Piのイベント)のポスターだった。
プライド氏はRaspberry Piを購入した。同氏はRaspberry Pi購入者の列の先頭にいたという。
「8bit世代の40歳のオタクたちがこの新しい小さなモノを発見し、これを中心にルネサンスをもたらした」と同氏は話す。同氏はPythonの基礎コースを受講し、それが修士号、博士号につながった。
アプトン氏はブログ記事で、「Raspberry Pi Pico」を自社製マイクロコントローラー「RP2040」(訳注:Armベースチップ)を搭載する初の製品だと紹介している。価格は4ドル(約490円)未満で、既に150万台近くのRaspberry Pi Picoを販売したと同氏は書いている。
発表時、Raspberry Pi PicoはHackSpace magazineのおまけとして無償で配られた。
2017年、Raspberry Piは英国のエンジニアリングのイノベーションにおける最優秀賞であるMacRobert Awardを受賞した。写真に写っているのは、左からゴードン・ホリングワース氏(最高製品責任者)、アプトン氏、ドム・コブリー氏(上級エンジニア)、リズ・アプトン氏(最高マーケティング責任者)、ジェームス・アダムス氏(最高執行責任者)、そしてピート・ロマス氏(Raspberry Pi Model Bのデザイナー)だ。
Raspberry Piの驚くべき事実が宇宙での利用であり、その一例が「Raspberry Pi Zero」とカメラをベースとする超小型衛星だ。
国際宇宙ステーションの特別なケースに収納されたRaspberry Piコンピュータ「Astro Pi」は、若者に宇宙で科学調査を行う機会を提供する。
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