IETF標準になるか
NATOが量子時代用のセキュアなVPNの確立を目指す切実な理由
Post-QuantumによるセキュアなVPN通信をNATOがテストした。まだIETF標準になってもいない技術を使ってでもセキュアな通信の確立を目指すのはなぜか。
NATO's Cyber Security Centre(NCSC)は、Post-Quantumが設計・構築したVPNによるセキュアな通信フローのテストに成功した。
Post-QuantumのVPNを作成したのは、ポスト量子のハイブリッドVPN用IETF(Internet Engineering Task Force)標準を記述した執筆者だ。この標準は、VPNを量子による攻撃に耐えられるようにする可能性があるといわれている。
Post-Quantumの技術はポスト量子の暗号化アルゴリズムと従来の暗号化アルゴリズムを一体化して、VPNを経由するデータを目的の受信者だけが読み取れるようにする。量子に対してセキュアなシステムに移行するのには数年かかる。現時点の最先端アルゴリズムと従来アルゴリズムを組み合わせ、将来の相互運用性を確保しておくのが現実的だ。この技術はオープンスタンダード化に向けてIETFに提案されている。
NATOがセキュアなVPNの構築を急ぐ理由
現在の(全てではないが)暗号化手法の大半は量子コンピュータによっていずれ突破され、電子メール、銀行処理、通信システムが脆弱(ぜいじゃく)になると考えられている。企業や組織、インターネット標準は、量子技術に対してセキュアな暗号化にいずれ移行する必要がある。
NCSCのコンラート・ベローナ氏(主席サイエンティスト)は言う。「量子時代に向けて、NATOの通信のセキュリティ確保は最重要事項だ。通信のセキュリティには『とにかくかき集めて、後で解析する』という脅威が迫っている。現在と将来の脅威から保護するために、通信のセキュリティを強化する取り組みの重要性が増している」
Post-QuantumはID、伝送、暗号化に重点を置いたソフトウェアを開発し、量子に対してセキュアな環境をエンド・ツー・エンドで提供している。これらの多くは政府、金融サービス、重要な国家インフラによって既にテストされている。
Post-QuantumはNIST(米国立標準技術研究所)の「Post-Quantum Cryptography」(ポスト量子暗号)コンペの「コードベース」カテゴリーで唯一ファイナリストとなった。このコンペは量子に対してセキュアな暗号化の特定と標準化を目指す。同社は「NTS-KEM」(別名「Classic McEliece」)アルゴリズムをオープンソース暗号化標準の基礎にすることを提案している。
Post-Quantumのアンデルセン・チェン氏(CEO)は言う。「十数年の研究開発は、当社を量子に対してセキュアなソリューションの設計に適した立場にしている。NATOとのプロジェクトは、世界が量子に対してセキュアなエコシステムに移行するための重要なマイルストーンになる。今行動を起こすのが賢明だ」
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Computer Weekly日本語版
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
事例
[株式会社ラクス] どうすれば「変革を楽しむ組織」になれるのか? 事例に学ぶ、未来への一歩 -
製品レビュー
[デル・テクノロジーズ株式会社] 変化するサイバー脅威に備える、これからのストレージの選び方 -
事例
[サイボウズ株式会社] 受注約1.5倍と年間2万3000時間超の業務時間を削減、日機装に学ぶDX実践術 -
製品レビュー
[サイボウズ株式会社] 人材不足にどう挑む? ものづくり太郎が語る、製造現場でのAI活用成功の鍵 -
市場調査・トレンド
[グーグル・クラウド・ジャパン合同会社] 金融機関はAIエージェント導入でどう変わる? 7つの変化から19の事例まで解説
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
RAGで「データをAIに送る」運用が限界を迎えている理由
-
2
「Copilot」がIT予算を食いつぶす? 高額請求を招く課金体系と節約術
-
3
ハイパーコンバージドインフラ徹底比較、「SimpliVity」「Nutanix」はどう違う?
-
4
Microsoft 365侵害企業の9割はMFA導入済み 1002人調査で見えた盲点
-
5
なぜストレージ不足は長引くのか? 77%が「12〜18カ月続く」と予測
-
6
【基本情報技術者試験】データ消失リスクを防ぐ3つの「バックアップ手法」を比較
-
7
PHP2Shellの「事前の情報流出」でパニックに パッチ公開を巡る“混乱劇”
-
8
複雑化するフォント管理に終止符を Monotypeが提唱する安全な運用方法
-
9
「データ活用とAI活用の実態」に関するアンケート
-
10
ハイパーコンバージドの主要3製品比較: Nutanix vs. VMware vs. SimpliVity
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
「IT史に名を残すシステム障害」8選
-
2
侵入から横展開まで27秒の脅威にどう立ち向かう? 防御のカギがEDRの理由
-
3
有識者が語る、中堅中小企業に求められる最新のサイバーセキュリティ対策とは
-
4
AI駆動攻撃にどう対抗する? 超速の攻撃からエンドポイントを保護する方法
-
5
10G回線の真価をフルに享受するには? 導入前にチェックしたいポイント
-
6
なぜAIは組織で定着しないのか? 全社展開を阻む「3つの壁」と突破のヒント
-
7
パスワードレスへの移行で失敗しないためには? 導入・運用上の注意点を解説
-
8
自社のセキュリティ対策は大丈夫? 自己診断リストで対策の優先順位が分かる
-
9
ランサムウェア攻撃“究極の対策”はこれだ
-
10
Microsoft 365のメールセキュリティ、3つの“死角”と追加で検討すべき対策とは
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー