量子コンピュータの高い演算能力は、暗号解読にも有効だ。暗号技術に依存したセキュリティ対策は、量子コンピュータによって無効化されるかもしれない。
量子コンピューティングが進化している。企業は量子コンピューティングの準備を始める必要がある。準備が遅れると、重要なデータが漏えいする恐れがある。これはヨーロッパの通信機器会社の最高情報セキュリティ責任者(CISO)の見解だ。
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「暗号学者と物理学者に大きな意見の隔たりがあることは別にして、量子コンピューティングが現実になるのは仮定の話ではなく、時間の問題になっている。そして、量子コンピューティングが現実になれば、企業が現在利用している暗号技法の多くは、クラッキングにさらされることになる」と話すのは、KPN(オランダの通信企業)でCISOを務めるジャヤ・バルー氏だ。
「実行可能な量子コンピュータの構築に向けた動きは大きく前進している。情報セキュリティのプロフェッショナルは、量子コンピューティングが多くの暗号化手法にとって脅威になる理由を理解することや、量子コンピューティングが現実になるときに可能な限り最善の状況にするための対策を始めることが重要になる」と、同氏はComputer Weeklyのインタビューに答えた。
多くの暗号化システムは、暗号鍵の解読に必要な数学計算には時間がかかり過ぎるという前提に基づいている。だが量子コンピュータは、ごく基本的なものでも、十分な速度で暗号を解読できるだろう。
中国が、防御と攻撃の両方を目的として量子コンピューティングに多額の投資を行っていることは知られている。ヨーロッパも量子コンピューティングに投資しているが、現時点での投資額は中国の足元にも及ばないとバルー氏は話す。
幸い、現在使用されている対称鍵暗号(共通鍵暗号)は、量子コンピューティングが登場してもあまり影響を受けることはないといわれている。「鍵を最新状態に保ち、ベストプラクティスに従って鍵の転送を行っている限り、問題は起こらない」とバルー氏は説明する。
「問題が起きるのは、非対称鍵暗号の場合だ。公開鍵暗号がまさにこれに当たる」
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