「トイザらスは時間をかけて自分の棺おけを作っていた。Amazonが棺おけを作って、トイザらスをそこに押し込んだわけではない」。トイザらスはどこで間違えたのか。何を間違えたのか。
前編(Computer Weekly日本語版 7月18日号掲載)では、トイザらスとAmazonの関係を中心に、トイザらスが破綻に至る過程を解説した。
後編では、トイザらスとは別の道で成功している小売業者の例と、トイザらスが自滅に至った原因を考察する。
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トイザらスのWebサイトは殺風景だった。だが、玩具を売る方法は他にもある。コンシューマー向けの幅広い商品を扱っている小売業者JMLは独自のショッピングサイトとテレビショッピングのチャンネルを運営し、他社サイトのデジタルスクリーンへの第三者配信を利用して商品を宣伝し、玩具分野でも安定した収益を挙げている。
JMLのケン・デイリーCEOは次のようにコメントしている。「われわれは玩具でも幾つかヒット商品を世に出した。当社の核となるモデルはビデオを使った宣伝だが、玩具についてもこれを適用している。われわれの玩具がよく売れる場所は、実はスーパーマーケットだ」
「われわれは、どのチャネルで商品を販売するかについて全くこだわりがない。ただ、コンシューマーに届けたいと願っているだけだ。スーパーマーケットは多数の買い物客が足を運ぶ場所だから、ここではビデオが大きな効果を発揮する。斬新なおもちゃを売り出す場合、それをアピールするにはビデオが最適だ。Hamleys(大型玩具店の老舗)で見るような実演デモもやっている。スーパーマーケットの画面でそのデモのビデオを見せれば、最高の宣伝になる」
トイザらスがデジタルスクリーンや商品の説明ビデオにもっと注力していたら破綻は防げたという主張は、やや苦しい。JMLのモデルは、トイザらスが実際には別の局面でも競争に直面していたことを示しているからだ。
何十年も使い続けたような古ぼけたレジやPOS機器が設置されている、英国のトイザらス店舗の画像がソーシャルメディアで拡散され、トイザらスはテクノロジー関連への設備投資が不足していたという印象が広まった。画像の一部は小売業コンサルタントのスティーブ・ドレッサー氏が撮影したものだった。しかし実際には、トイザらスは最近になって店舗にモダンな機器を導入すべく、投資をいくらかは行っていた。
本誌Computer Weeklyが2017年に取り上げた通り、英国のトイザらスは各店舗に2台のタブレットを導入して店舗スタッフが在庫情報にアクセスできるようになったので、来店客への支援の質が向上した。
間違いなく、あれは「少な過ぎる上に遅過ぎる」ケースだった。いずれにしても負債のレベルは身動きが取れないほどになっており、米国で2017年秋に破産を申し立てた時点で約50億ドル(約5475億円)に達していたと明かされた。これでは必要な設備投資は難しかっただろう。
テクノロジーは同社の関心事ではなかった。
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