自滅へ一直線、トイザらスが繰り出した戦略ミスの数々トイザらスとAmazonの成功の分かれ目(後編)

「トイザらスは時間をかけて自分の棺おけを作っていた。Amazonが棺おけを作って、トイザらスをそこに押し込んだわけではない」。トイザらスはどこで間違えたのか。何を間違えたのか。

2018年08月10日 08時00分 公開
[Ben SillitoeComputer Weekly]

 前編(Computer Weekly日本語版 7月18日号掲載)では、トイザらスとAmazonの関係を中心に、トイザらスが破綻に至る過程を解説した。

 後編では、トイザらスとは別の道で成功している小売業者の例と、トイザらスが自滅に至った原因を考察する。

Computer Weekly日本語版 8月8日号無料ダウンロード

本記事は、プレミアムコンテンツ「Computer Weekly日本語版 8月8日号」(PDF)掲載記事の抄訳版です。本記事の全文は、同プレミアムコンテンツで読むことができます。

なお、同コンテンツのEPUB版およびKindle(MOBI)版も提供しています。

ボタンボタン

 トイザらスのWebサイトは殺風景だった。だが、玩具を売る方法は他にもある。コンシューマー向けの幅広い商品を扱っている小売業者JMLは独自のショッピングサイトとテレビショッピングのチャンネルを運営し、他社サイトのデジタルスクリーンへの第三者配信を利用して商品を宣伝し、玩具分野でも安定した収益を挙げている。

 JMLのケン・デイリーCEOは次のようにコメントしている。「われわれは玩具でも幾つかヒット商品を世に出した。当社の核となるモデルはビデオを使った宣伝だが、玩具についてもこれを適用している。われわれの玩具がよく売れる場所は、実はスーパーマーケットだ」

 「われわれは、どのチャネルで商品を販売するかについて全くこだわりがない。ただ、コンシューマーに届けたいと願っているだけだ。スーパーマーケットは多数の買い物客が足を運ぶ場所だから、ここではビデオが大きな効果を発揮する。斬新なおもちゃを売り出す場合、それをアピールするにはビデオが最適だ。Hamleys(大型玩具店の老舗)で見るような実演デモもやっている。スーパーマーケットの画面でそのデモのビデオを見せれば、最高の宣伝になる」

 トイザらスがデジタルスクリーンや商品の説明ビデオにもっと注力していたら破綻は防げたという主張は、やや苦しい。JMLのモデルは、トイザらスが実際には別の局面でも競争に直面していたことを示しているからだ。

自ら墓穴を掘る

 何十年も使い続けたような古ぼけたレジやPOS機器が設置されている、英国のトイザらス店舗の画像がソーシャルメディアで拡散され、トイザらスはテクノロジー関連への設備投資が不足していたという印象が広まった。画像の一部は小売業コンサルタントのスティーブ・ドレッサー氏が撮影したものだった。しかし実際には、トイザらスは最近になって店舗にモダンな機器を導入すべく、投資をいくらかは行っていた。

 本誌Computer Weeklyが2017年に取り上げた通り、英国のトイザらスは各店舗に2台のタブレットを導入して店舗スタッフが在庫情報にアクセスできるようになったので、来店客への支援の質が向上した。

 間違いなく、あれは「少な過ぎる上に遅過ぎる」ケースだった。いずれにしても負債のレベルは身動きが取れないほどになっており、米国で2017年秋に破産を申し立てた時点で約50億ドル(約5475億円)に達していたと明かされた。これでは必要な設備投資は難しかっただろう。

 テクノロジーは同社の関心事ではなかった。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

隴�スー騾ケツ€郢晏ク厥。郢ァ�、郢晏現�ス郢晢スシ郢昜サ」�ス

製品資料 NTTドコモビジネス株式会社

IT人材が不足する中、多拠点/多店舗企業がネットワーク運用を楽にするには?

国内のITサービス市場が堅調に伸びている一方、その推進役を担うIT人材の不足が深刻化しつつある。この問題によって、特に多拠点/多店舗を展開する企業の多くが、自社のネットワーク運用においてさまざまな課題に直面しているという。

製品資料 株式会社日本能率協会マネジメントセンター

効果的な1on1で組織力を向上、AIで対話力を改善する支援ツールとは

管理職の対話型マネジメントによる組織力の活性化を目的に、「1on1」を導入する企業が増えている。しかし、さまざまな課題も浮上している。最先端のAI技術で、客観的に1on1を分析し、PDCAを回して改善ができる1on1支援ツールを紹介する。

製品資料 LRM株式会社

年間を通じたセキュリティ教育計画を立て、従業員の意識を高める方法

社内のセキュリティ意識を高めるために欠かせないセキュリティ教育。効果的な教育を行うには、年間を通じた計画を立てることが必要だ。本資料では、その具体的なアプローチとともに、セキュリティ教育を自動で実現するサービスを紹介する。

製品資料 SB C&S株式会社

厳格化が進むプライバシー規制にどう備える? 企業が押さえるべき実践ポイント

プライバシー保護に関する規制が厳格化する中、データの収集・活用における戦略の見直しが進められている。規制対応のガイドラインとして、求められる対策やファーストパーティーデータ活用時の留意事項などを解説する。

製品レビュー SB C&S株式会社

Webサービス展開に当たって忘れがちな、ID管理とプライバシー規制への対応方法

昨今、多くの組織が、商用サイトなどに来訪するユーザーのプライバシーデータの取り扱いや、その法令順守について戦略の見直しを迫られている。ガバナンスを確保しながらデジタルマーケティングや顧客向けビジネスを推進する方法を探る。

アイティメディアからのお知らせ

From Informa TechTarget

「テレワークでネットが遅い」の帯域幅じゃない“真犯人”はこれだ

「テレワークでネットが遅い」の帯域幅じゃない“真犯人”はこれだ
ネットワークの問題は「帯域幅を増やせば解決する」と考えてはいないだろうか。こうした誤解をしているIT担当者は珍しくない。ネットワークを快適に利用するために、持つべき視点とは。

ITmedia マーケティング新着記事

news017.png

「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。

news027.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。

news023.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...