NVMe、SCM、永続メモリで一変するストレージの世界フラッシュ対SCM(前編)

SSDは通過点にすぎず、ストレージはさらなるパフォーマンス向上を求められている。NVMeを通して見えてきた次世代技術であるストレージクラスメモリ、不揮発性DIMMについて解説する。

2018年08月17日 08時00分 公開
[Chris EvansComputer Weekly]

 DRAMの速度はナノ秒単位だが、揮発性であり非永続的だ。一方、「Intel Optane」に代表される3D XPoint SSDなどの不揮発性ストレージは、現状最高速のものでもDRAMより1桁遅い。だが、永続メモリは必要だ。そこで、永続メモリを可能な限り高い効率でプロセッサに接続しながら、メモリにデータを保存する必要性を最小限に抑えるにはどうすればよいだろう。

 現時点で、業界には有り余るほどのストレージメディアがある。NANDフラッシュストレージは急増しており、パフォーマンス要件を全て満たす、手頃な価格の機器もある。

 現時点のNANDフラッシュストレージは、MLC(Multi Level Cell)、TLC(Triple Level Cell)、QLC(Quad Level Cell)という3種類のいずれかを使用して構築されている。これらのメディアによって容量は増えるが、耐久性やパフォーマンスはやや低くなる。多少範囲はあるものの、アクセス時間は10マイクロ秒以内だ。

 NANDはHDDより数十倍から数百倍高速で、価格も徐々に下がっている。フラッシュストレージアレイに移行したり、ローカルフラッシュストレージを使用したりするだけで、パフォーマンスは大幅に向上する。

 フラッシュは優れている。だが、現在主流のSASやSATAを用いると、そのプロトコル固有の効率の低さがネックになる。それは、SATAがATAPI、SASがSCSIという具合に、HDDを前提に設計されているためだ。いずれもキュー処理の制限や並列化の欠如から、NANDのパフォーマンスを完全に引き出すことはできない。

 この解決策が、NVMeという新しいプロトコルだ。NVMeはソフトウェアの改善によりプロトコルのオーバーヘッドを抑え、機器をPCIeバスに直接接続する。並列入出力(I/O)は、最大64K(6万5535個)のキューと、キュー当たり64K個のコマンドに強化されている。

 NVMeフラッシュ機器のレイテンシはSAS/SATA機器と変わらないと考えられる。ただし、NVMeのスループットそのもののIOPS値は約10倍に改善される。サーバやストレージアレイはNVMeをサポートする必要がある。サポートするメリットは大きい。

ストレージクラスメモリ

 NVMeは、ストレージクラスメモリ(SCM)として知られる新たな技術を実現する。




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