“暴走”を防ぐAIエージェント設計ツール「Genesys Cloud AI Studio」とは?使いやすさだけじゃない

Genesys Cloud Servicesは2025年6月、AIエージェント設計ツール「Genesys Cloud AI Studio」を発表した。同社幹部が語る、使いやすさにとどまらない目玉機能とは何か。

2025年07月29日 06時00分 公開
[Don FluckingerTechTarget]

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 カスタマーエクスペリエンス(CX)向上のためのツールを手掛けるGenesys Cloud Services(以下、Genesys)は2025年6月、「AIエージェント」の設計ができるツール「Genesys Cloud AI Studio」を発表した。AIエージェントとは、画像やテキストを自動生成するAI(人工知能)技術「生成AI」によってさまざまな作業を自動化する仕組みだ。AIエージェント設計用ツールが相次いで登場する中、Genesys Cloud AI Studioは何が“すごい”のか。

「責任あるAI利用」を可能にする目玉機能

 Genesys Cloud AI Studioは専門的なコーディングのスキルがなくても、自然言語を使ってAIエージェントを設計したり、改修したりできるツールだ。AIエージェント設計の際、自社の規制やポリシーを踏まえ、AIエージェントにどこまで自律性を持たせるのかを制御可能だ。例えば、言葉遣いや課題解決の方針についてAIエージェントにルールを示せる。これによって、AIエージェントの“暴走”を防ぎ、セキュリティやコンプライアンス(法令順守)の強化につながるという。

 Genesysはこの機能をガードレール機能と呼ぶ。同社バイスプレジデント(プロダクト担当)のラーフル・ガーグ氏は、「ガードレール機能はGenesys Cloud AI Studioの目玉だ」と述べる。企業ではAIエージェントによる自動化のニーズが高まっている一方、セキュリティやコンプライアンスが懸念点だ。Genesysはガードレール機能によってAIエージェントのセーフティ(安全利用)コントロールを実現し、責任あるAIエージェント利用を可能にすると説明する。

 Genesysは、独自の技術とオープンソースソフトウェア(OSS)を組み合わせてGenesys Cloud AI StudioのAIモデルを構築し、汎用(はんよう)性を高めている。さまざまな業務システムとの連携も可能で、Genesys Cloud AI Studioを既存のワークフローに組み込みやすくしているという。「企業が従来のシステムと生成AIを融合させ、ハイブリッドなアプローチを推進できるようにしている」とガーグ氏は説明する。

 ガーグ氏は具体例として、ある大手銀行が住宅ローンの申し込みプロセスを刷新した取り組みを挙げる。同氏によると、その銀行は住宅ローンに関する説明に生成AIを取り入れている。一方で、本人確認用の質問への回答をはじめとした機密性の高いデータの処理には生成AIを使わないことにしているという。

 AIエージェント設計用ツールの分野では、SalesforceやServiceNow、Qualtricsなど、ベンダーがひしめいている。Genesys Cloud AI Studioの投入によってGenesysもこの分野に本格参入し、競争が激化する見込みだ。

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