ネットワーク管理者は、「SNMP」と「Telemetry」を利用してネットワークを監視できる。両者の違いを理解した上で、どちらを使うべきか検討しよう。
ネットワーク監視の代表的な仕組みとして、「SNMP」(Simple Network Management Protocol:簡易ネットワーク管理プロトコル)と「Telemetry」(以下、テレメトリー)がある。両者はそれぞれ異なるメカニズムで動作する。両者の違いや使い分けの方法とは。
SNMPはポーリング(一定の間隔で対象を定期的にチェックする手法)方式でネットワーク機器から情報を収集し、管理サーバ側で統合する。
SNMPが取得できる情報はポーリング間隔に左右されるため、リアルタイム性ではテレメトリーが優れている。
だが、SNMPは広く普及しているため、さまざまなネットワーク機器が準拠している。そのため、ネットワーク管理者は比較的変化が少ない情報を取得する場合、SNMPを利用した方が効率的な可能性がある。例えば次のような情報だ。
SNMPはコネクションレス型の通信プロトコルであるUDPを利用するため、テレメトリーと比較するとデータを受信する管理サーバの負荷を抑えられる可能性がある。
テレメトリーもUDPを利用できるが、基本的にはTCPなど再送制御機能が組み込まれた信頼性の高いプロトコルを用いる。加えてテレメトリーを利用するネットワーク管理者は通常、SNMPよりも詳細かつ高頻度のデータを収集する。ネットワーク管理者はテレメトリーを利用することで、より詳細かつリアルタイムな統計情報を得ることができる。こうした特徴から、テレメトリーは実装の方法によっては管理サーバ側に負荷をかける可能性がある。ネットワーク管理者は通常、障害の発生や特定のパラメータがしきい値を超えるなど、イベントをトリガーとしてテレメトリーによる情報を収集開始する。
一方、データを送信する各ネットワーク機器で比較すると、SNMPはプル方式(ユーザーやシステムが自ら情報をリクエストする方式)で情報をやりとりする。そのため、ポーリングのたびに、管理サーバ側がネットワーク機器にリクエストを送る。
それに対してテレメトリーはプッシュ方式(情報が自動的にユーザーやシステムに送られる方法)であり、各ネットワーク機器は1度リクエストを受け取れば自動的にデータを送信する。これにより、ネットワーク機器はリクエストを解析する回数が減るため、負荷が減る可能性がある。
SNMPを利用できるネットワーク機器は普及しているが、テレメトリーは古い機器などでは利用できないケースがある。テレメトリーのみでネットワークを監視するには組織内の全てのネットワーク機器がテレメトリーに準拠するのを待つ必要がある。
新旧のネットワーク機器が混在するネットワークでは、SNMPとテレメトリーを組み合わせる運用が最適となる可能性がある。
ネットワーク管理者はSNMPでもテレメトリーでも好きな方式でデータを収集できる。だが、忘れてはならないのは、ネットワークの監視ではこれらのデータをいかに分析するかが重要だということだ。
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