Apache Cassandraの運用負荷を低減するAIOpsサービス登場AIが自動診断とアドバイス、視覚化を提供

「DataStax Vector」は、OSSのデータベース「Apache Cassandra」の運用をサポートするAIOpsサービスだ。このサービスによって何が実現するのか。

2020年09月09日 08時00分 公開
[Adrian BridgwaterComputer Weekly]

 DataStaxはOSS(オープンソースソフトウェア)のデータベース「Apache Cassandra」に取り組んでいることで最も知られている企業だろう。同社は現在、「DataStax Vector」のプライベートβ版を前面に押し出す取り組みを進めている。VectorはCassandra向けのAIOpsサービスだ。

 AIOpsについてどう感じているだろう。

 予測分析とその後の制御にAI(人工知能)を使うことには、仕事の多くを自律的かつ自動的に遂行するツールを運用チームに提供するという目的がある。ここでいう運用チームとは、システム管理者、データベース管理者、テスト担当者、コンプライアンス担当者など、運用に関わるあらゆる職務を含む。

 DataStaxが提案するAIOpsのアプローチは、開発者(クラスタを管理する開発者)が常に制御できるようにしておくことだ。事前に変更を加えるという提案ではない。従って、同社のAIOpsサービスは改善に向けてのベストプラクティスや方法を提案するが、そうした変更を加える方法やタイミングの決定権は常に開発者にある。

 基本的な定義はさておき、実際のニュースを見てみよう。

 VectorはCassandraクラスタの動作を絶えず評価し、開発者と運用担当者に自動診断とアドバイスを提供する。Vectorを起動すると詳しい背景情報を添えた推奨事項が提案され、問題解決の方法が複数提示される。

 DataStaxでCPO(最高製品責任者)を務めるエド・アヌフ氏は次のように語る。「当社の目標は、先を見越した形でクラスタの健全性を監視するAIOpsサービスを提供し、Cassandraの使用に伴う生産性と効率が向上するよう開発者と運用担当者を支援することにある」

ノードの健全性

 Vectorのβリリースは「反応型の学習」を使って先を見越したアドバイスを提示する。Vectorは個々のノードを分析し、同じクラスタ内の他ノードの動作と比較してさまざまな推奨事項を提案する。推奨事項の例には、CassandraとOSの構成、スキーマ設計とCassandraのパフォーマンス、クエリの手法などがある。

 Vectorはシステムの使用状況について「高度な」視覚化も提供する。DataStaxはこれを「洞察力豊かなチャート」(insightful charting)と呼んでおり、テーブル、キースペース、ノードの理解に役立つ。DataStaxによるとこうした視覚化は、開発者や運用担当者がCassandraノードにログインせずにクラスタのパフォーマンスやその構成方法を確認して理解するのに役立つという。

 従って、デモが示すように、また技術ブログで広範なコンテキストについて説明されているように、これはCassandraについて自動的に行うアドバイスであり、継続的な更新であり、人手を介在させずに管理するものだ。ただし、開発者やデータベースエンジニアが細かく制御したいと望む場合はその限りではない。

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