AIシステムにもCOVID-19の影響が及ぶだろう。COVID-19によってあらゆるものが変わり、以前に学習したモデルは適用できなくなるかもしれない。この変化に対応できるAIシステムのアーキテクチャとは?
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によるロックダウンの影響を数え上げるに当たって、AIは最初に挙がるものではないかもしれない。だが、COVID-19の危機はあらゆる想像をはるかに超えている。
最近AI対応のデータベースについての質問を受けたときに、あるアイデアを思い付いた。AIサーバをインメモリデータベースに統合することで、バックエンドのデータトラフィックを取り除き、速度を大幅に向上させるという考えだ。
AIの実運用部分である“推論”は比較的「閉じられた」アプリケーションで、トレーニングの部分よりも要求リソースははるかに少ないと考えがちだ。だが実際には、AIエンジンの進行に合わせて絶えず監視し、トレーニングをやり直すAIアプリケーションもある。
AIの最前線に高速なプロセッサを用意したとしても、そのプロセッサはバックエンドと大量のデータ転送を行う。通常はバックエンドに計算サーバを用意して、データベースと通信することになるだろう。そのため、AIサーバをデータベースに統合して必要なトランザクション数を減らすという考えは、定期的にまたは頻繁にトレーニングをやり直す必要のあるAIアプリケーションにメリットをもたらす。
では、COVID-19との関係はどこにあるのだろう。大半のAIシステムは、大量の履歴データを使ってトレーニングされている。だが、新たなリスクやルールの適用に伴って事業や個人の行動は劇的に変化している。買い物の習慣、旅行のパターン、流通、エネルギーの利用などが予想外に変わっている。小麦粉の生産の国内市場と商業市場への販売比率さえ変わっている。あらゆることが変わっている。
その結果、かつて比較的安定していたAIシステムも著しく流動的になる。さらに悪いことに、パンデミックからの回復も再開もばらばらで場当たり的だ。国や業界が違えば、ロックダウン解除の速度も方法も異なる。当然、ウイルスがどのように変異するかも分からない。こうした流動性や変動性はかなり長く続く可能性がある。
こうした状況下では、AIの監視と再トレーニングのニーズが高まると考える。簡単に言ってしまえば、先週機能していたモデルは、翌週には適用できない恐れがある。
これによってAI機能を統合するデータベース開発者が増えるのだろうか。それについてはあまり確かではない。開発者は手元のタスクに最適なデータベースとAIエンジンを選択するのに慣れている。そのため、恐らくしばらくは変わらないだろう。ただし再トレーニングの必要性が明らかになるにつれ、AI要素とデータベース要素を近づけるアーキテクチャ上の変化が見られるようになると考えている。
もちろん、こうしたことが全てのアプリケーションに当てはまるわけではない。定期的な監視と再トレーニングを必要とするAIアプリケーションもあれば、それをほとんど必要としないアプリケーションもある。
とはいえ、自社でAIシステムを運用していて、それが後者のカテゴリーに含まれているとしても、目を離している間に前者カテゴリーに切り替わらないようにチェックするのに適切なタイミングかもしれない。
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