2020年07月30日 08時00分 公開
特集/連載

クラウドネイティブコンピューティングを加速する3つのネットワーク技術Computer Weekly製品ガイド

クラウドネイティブコンピューティングによって弾みがついている3つのネットワーク技術を紹介する。

[Andrew Lerner and Danellie Young,Computer Weekly]
iStock.com/metamorworks

 Gartnerは2019年7月に発行した「Hype Cycle for Enterprise Networking, 2019」(エンタープライズネットワークにおけるハイプ・サイクル)で、ネットワークインフラを段階的に変更すると組織が変化するペースに追い付くことはできなくなると予想した。ネットワーク技術はデジタル化とクラウドによって強くけん引されていると同報告書は指摘する。そしてビジネスのデジタル化とは、ネットワークのアジャイル性強化が求められるということでもある。

 Gartnerの報告書は、成熟のさまざまな段階における多数のネットワーク技術を網羅している。主流になりつつあるものや採用する準備が整っているものがある半面、ほとんど誇大宣伝にすぎないものもある。本稿では、クラウドネイティブコンピューティング市場にディスラプションを起こそうとしている3つの技術を紹介する。

クラウド管理ネットワーク:普及の初期段階

 クラウド管理型ネットワーク(CMN:Cloud Managed Network)はクラウドベースのWebポータルを提供し、リモートでデプロイしたセキュアな有線および無線接続の設定と管理を一元化する。

 Gartnerの首席アナリスト、ビル・メネゼス氏は市場分析の中で、CMNは中堅・中小企業など、無線LANやアクセスポイント管理に必要なIT要員を十分に割り当てられない企業が採用する技術だった当初の域を越えつつあると指摘した。

 機能も拡張され、管理、プロビジョニング、ゲストアクセス、ポリシー強制といった一般的なロケーションネットワークサービスアプリケーションのための有線接続が含まれるようになった。

 「WANセキュリティアプライアンス管理がクラウドポートフォリオの一部となり始め、CMNはデータセンターネットワークへと拡張しつつある。インフラベンダーのパートナーのエコシステムによってサービスポートフォリオが拡張される中で、採用は増え続けるだろう」とメネゼス氏は予想する。

 同氏によると、IT要員や予算に制約がある中でリモートブランチを手早くアクティベートして、現場の技術者が限られる状況で遠隔管理する必要がある組織はCMNの恩恵を受ける。小売りチェーンやコーヒーショップ、レストラン、小規模ホテル、医療施設の待合室、学校、小規模企業、リモートオフィスなどが主にCMNのインストールベースとなっている。

 ITプロバイダーが構内LANのためにCMNを提案することもある。だがGartnerによれば、複雑なLANおよび無線LANインフラを持つ大企業の構内にはCMNはあまり適していない。Gartnerの調査では、支所数が100を超える大企業による採用は依然として限定的だ。

 「そうしたケースでは、既存のインフラ技術との互換性を掘り下げた検証や、セキュリティポリシーへの準拠、さらに徹底したROI(費用対効果)分析が求められる」とメネゼス氏は言う。

 CMNは無線LAN構成のために選定されることもあるが、このモデルは他のネットワーク機器にも応用できる。クラウド管理プラットフォームをベースとした一部のSD-WANソリューションとの融合も進んでいる。GartnerはIT要員が少ない組織に対し、ネットワーク機器のプロビジョニングと継続的な管理の容易さが求められるリモート拠点あるいは分散された拠点に、クラウド管理型ネットワークを導入することを提言している。

 メネゼス氏はIT意思決定者に対し、CMNを大規模導入する前に継続的なサブスクリプションや管理機能の維持など、このモデルの制約やコストについて検討するよう促している。

サービスメッシュ:成熟の青年期

 Gartnerはサービスメッシュについて、アプリケーションサービス間の通信を最適化する分散型のコンピューティングミドルウェアと形容している。これはサービス間通信用のプロキシや軽量媒介を提供するもので、認証、承認、暗号化、サービス発見、リクエストルーティング、負荷分散、自己復旧、サービスインストルメンテーションなどの機能をサポートする。Gartnerは、ミニサービスやマイクロサービス運用にサービスメッシュの採用を推奨している。

 Gartnerの調査によるとサービスメッシュ技術は急速に進化していて、商用製品やオープンソース製品を含めて複数の選択肢がある。Gartnerのバイスプレジデントでアナリストのアンドルー・ラーナー氏と同じくバイスプレジデントでアナリストのアン・トーマス氏によると、サービスメッシュ技術の普及はマイクロサービスやコンテナの普及とつながりがある。

 両氏は前出の「Hype Cycle for Enterprise Networking, 2019」の中で次のように記している。「現代のアプリケーションは急速に分散化とコンテナ化が進んでおり、それがサービスメッシュ技術への関心を高め、採用を加速させている。採用しているのは主に規模が大きく技術的に前向きな組織あるいは事業部門だ。サービスメッシュ技術に対する関心は2017年初め、Google、IBM、LyftがKubernetesで運用されるマイクロサービスのためのサービスメッシュフレームワークを提供するオープンソースプロジェクト『Istio』を立ち上げたことで高まった。Istio 1.0は2018年7月にリリースされ、Kubernetesベースのプラットフォームを手掛ける多数のベンダーがIstioベースの商用製品を発表している」

 両氏によるとサービスメッシュが必要なのは、従来の負荷分散、アプリケーションデリバリーコントローラー(ADC)技術やAPIゲートウェイ技術では、マイクロサービスからマイクロサービスへの通信(いわゆる「東西トラフィック」)には重過ぎるという理由による。マイクロサービスアーキテクチャを早くから採用しているNetflix、Twitter、Lyftなどが自らサービスメッシュを開発しているのもそれが理由だ。

 Gartnerの調査では、Istioプロジェクトに参加するか、独自のサービスメッシュを開発する技術プロバイダーは過去1年半の間に増えていることが分かった。ラーナー、トーマス両氏の推計によると、ソフトウェアとして提供されているものもサービスとして提供されているものも含めて、2020年は全ての大手コンテナ管理システムがサービスメッシュ技術を搭載する予定だ。

 現時点でサービスメッシュを使う最大のメリットは、開発者の負担が減ることだと両氏は指摘する。これによって生産性を向上させ、アプリケーションのデリバリーを加速させることができる。サービスメッシュの利用は、長期的にはアプリケーション間で一貫した基準やポリシーの徹底を保証する一助になると両氏はみる。これはサービスメッシュが提供するトラフィック管理機能によるものだ。それによってマイクロサービス環境内で可用性、耐久性、動性、拡張性、インストルメンテーション、可視性、セキュリティといった追加的なメリットが実現する。

Kubernetesネットワーク:注目すべき新興技術

 Kubernetesネットワークソフトウェアは、




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