2020年07月31日 08時00分 公開
特集/連載

企業の5G&Wi-Fi 6導入は意外に早い?積極的なネットワーク部門幹部

多くのネットワーク部門幹部は5GやWi-Fi 6によって自社にイノベーションがもたらされると考えているという。彼らは5GやWi-Fi 6をどのようなユースケースに適用しようとしているのだろうか。

[Joe O’Halloran,Computer Weekly]
iStock.com/sompong_tom

 Deloitte Tohmatsu Consulting(以下、Deloitte)の調査によると、5GやWi-Fi 6などの最新通信技術の可能性について驚くべきことが明らかになった。企業のネットワーク部門幹部の86%がワイヤレス技術によって3年以内に自社にイノベーションがもたらされると確信しており、79%は自社が属する業界もそうなると考えていたことだ。

 Deloitteが調査を行ったのは新型コロナウイルス感染症のパンデミック前だった。今回のパンデミックによってオンサイトの人員を減らし、場合によっては完全な仮想化環境での業務を維持するために、ユビキタスでセキュリティが確保された、高品質な接続のニーズが高くなった。より堅牢(けんろう)で強力なネットワークインフラの需要も加速する可能性があるという。

 Deloitteがこの調査を実施したのは2020年第1四半期初頭で、動機、課題、嗜好(しこう)を含め、5Gなどのワイヤレス技術を企業がどのように導入するかを見定めるためだ。調査の対象となったのは、米国企業のネットワーク部門幹部415人だ。

 この調査で、ワイヤレス技術によって自社や自社が属する業界が今後3年以内に何らかの形で変わると多くの幹部が考えていることが分かった。5GとWi-Fi 6の利用は今後3年で2倍以上になり、4G/LTEやWi-Fi 5以前の技術はなくならないとしても減少すると予測していることも分かった。そのため5GやWi-Fi 6といった高度ワイヤレス技術は戦略上重要になっている。

 調査では、高度ワイヤレス技術の導入が戦略上必須と見なされていることが明らかになった。回答者の76%は5Gが3年以内に自社にとって重要なネットワーク技術になると考えている。70%はWi-Fi 6に関しても同様に感じている。回答者の5分の3以上が2021年のうちに両技術の導入を計画しており、93%が今後3年以内の導入を計画していた。

 回答者は、多くの帯域幅を必要とするニーズや時間が重要になるニーズには、高度ワイヤレス技術によるパフォーマンスの向上が魅力になると考えている。

 高度ワイヤレス技術のメリットは

  • 効率向上
  • セキュリティ強化
  • エッジコンピューティングやビッグデータ分析、AI(人工知能)などの新技術の利用

がトップ3だった。回答者は、高度ワイヤレス技術が成功につながる最も重要な要因として、速度(63%)、信頼性と回復性(62%)、ネットワークとデータのセキュリティ(61%)を挙げている。

 この戦略的重要性は、今後の大量投資につながる可能性が高い。今後3年間でワイヤレス技術に平均1億1570万ドル(約123億8000万円)の支出が見込まれている。回答者の87%は高度ワイヤレス技術が自社に競争上の大きな優位性をもたらすと考えている。

 新しい技術を導入するプロセスは順調に進んでおり、回答者の57%が5GとWi-Fiのいずれかまたは両方で計画や検証などの導入プロセスを現在進めていた。

 こうしたメリットがあるにもかかわらず、回答者全員が自社の現状のネットワークではイノベーションに対応できないと考えているわけではない。5分の4以上は、自社のワイヤレス技術のパフォーマンスに「満足している」または「大変満足している」と回答している。だが、自社の現状のネットワークインフラでは目標にしたい革新的なユースケースへの対応は妨げられると考えている回答も57%あった。

 IT部門の中でも、CIO(最高情報責任者)、CTO(最高技術責任者)、マネジャーなどが高度ワイヤレス技術導入を推し進めると見なされている。事業部門や運用部門の責任者も重要な役割を担う。

 高度ワイヤレス技術のユースケースの優先順位は、業界や職責に応じて異なる傾向がある。IT部門の幹部は従業員の働きやすさを重視している。従業員の接続性に対応するための上位3つのユースケースとして、職場のコミュニケーション、ITの管理、高度な共同作業ツールを挙げている。対照的に、事業部門の幹部は従業員の接続性に対応するための上位2つのユースケースとしてITの管理と自動化を挙げており、効率向上への強い願望を示している。

 高度ワイヤレス技術を最善の形で導入するために主にどのような傾向を考え、どのような行動を必要としているかに目を向けると、回答者は「全部込み」の姿勢でいることが明らかになった。そう話すのは、Deloitteで技術、メディア、通信部門の主任を務めるダン・リットマン氏だ。

 「非常に多くの回答者が、AI、クラウド、分析ベースのイノベーションにとって高度ワイヤレス技術が重要な成功要因になると見ている。新型コロナウイルス感染症のパンデミックによって、自動化の需要がかつてないほど高まる可能性がある。自動化は職場でのソーシャルディスタンスを実現するが、より堅牢かつ強力なネットワークインフラを必要とする」(リットマン氏)

 Deloitteで同じく技術、メディア、通信部門の主任を務めるジャック・フリッツ氏は次のように補足する。「今日のように急速に変化する不確かな世界では、AI、エッジコンピューティング、クラウドなどの革新的な技術は企業にとってあれば助かるものではなく、必要不可欠になっている」

 「高度ワイヤレス技術の導入がパイロット導入からフルスケールでの導入へと進むにつれ、それをどのように活用するか次第で最終的に普及するであろう新技術の可能性が完全に明らかになる。ネットワーク部門の幹部はそう理解している」(フリッツ氏)

 ただし、本調査は5GやWi-Fi 6の導入プロセスを現在進めているか、今後3年以内にいずれかの技術の導入を計画している企業が対象であることを割り引いて考える必要がある。関連記事

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