Li-Fiによる広域&屋内ワイヤレスブロードバンドの実現Wi-Fiでも5Gでもない選択肢

英グレインセイ島は、老朽化した有線回線の代わりに光無線技術「Li-Fi」によるワイヤレスブロードバンドサービスを導入した。屋内だけでなく「ラストワンマイル」の接続にも利用している点に注目だ。

2019年10月15日 08時00分 公開
[Alex ScroxtonComputer Weekly]

 グレインセイ島の住人はこれまでもブロードバンドサービスに接続できていた。だが混雑が起こりやすい銅線ネットワークしかなく、速度は2Mbpsがやっとだった。これにLi-Fi技術を組み合わせることで、データ転送速度が一貫して4倍速くなったと5G RuralFirstチームは話す。Li-Fi技術は、高速かつ安全にエネルギー効率良くデータを転送するために光を使う。

 グレインセイ島に19世紀に建てられた2基の灯台の1基を中央通信ハブとし、家庭用の太陽光パネルを受信器、赤外線レーザーを送信器に使ってラストワンマイルを屋外Li-Fiが担う。

Wi-Fiをしのぐメリット

 家庭内では、LED電球とその光を受信するUSBドングルから成る屋内Li-Fiがワイヤレスネットワークを確立する。

 エディンバラ大学でLi-Fi研究開発センター長を務め、スピンアウト企業pureLiFiのCSO(Chief Scientific Officer:最高科学責任者)を兼ねるハラルド・ハース氏は次のように語る。「グレインセイ島で島民と企業をつなぐのは銅製の固定電話回線のみなので、接続性をアップグレードするのは複雑な位置付けにある。だがLi-Fiを使えば手頃な価格のラストワンマイル接続と屋内高速ワイヤレスネットワークの2つが実現する」

 2011年にLi-Fiを開発してこの新語を生み出したのはハース氏だ。同氏をはじめとするLi-Fiの支持者は、Li-FiにはWi-Fiに勝るメリットが多数あると考えている。

 重要なのは、データ転送に電波ではなく可視光スペクトルを利用するLi-Fiが、スペクトル容量に関する懸念を最終的に軽減する可能性がある点だ。可視光スペクトルは電波よりもずっと広く、飛行中の飛行機内、病院、危険な産業環境など、電波の使用に問題がある場所でも使うことができる。

 さらに、光が壁を通過できないのは明らかだ。そのためWi-Fiよりも安全性が高い可能性もある。だがこうした可視光の制限が、ネットワークの強度、範囲、ハンドオフ機能の点で新たな問題も生み出す。通信を行うためには発光させる必要がある。

 5G RuralFirstテストベッドは、政府の「5G Testbeds and Trials」プログラムの下で運用される複数のプロジェクトの一つだ。Cisco、ストラスクライド大学など、多数の技術、学術パートナーから成る5G RuralFirstコンソーシアムには、地方コミュニティーと農業分野での5G応用に関する研究予算(2018年度)が430万ポンド(約5億7000万円)与えられている。

 この計画で最も注目を集めるプロジェクトの一つが、英サマセットの農場周辺での試験運用だ。このプロジェクトは、センサーを付けた牛を追跡する。

 5G Testbeds and Trialsプロジェクトの下で運用されている計画はこれに限らない。例えば「AutoAir」はネットワーク事業者O2のサポートを受け、コネクテッドカーでの5G利用について研究する計画だ。また、Sensor Cityによる「Liverpool 5G Testbed」は、国民保険サービス(NHS:National Health Service)とソーシャルケア部門の5Gを取り扱う。さらにWest of England Combined Authority(WECA)の「5G Smart Tourism」テストベッドは、英バースとブリストルでコネクテッドインクルーシブツーリズムを実現するために5Gを利用する方法を研究している。

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