電波から電力を生み出す「Freevolt」でIoTの電源問題は解決?電源なしでセンサーが稼働

Wi-Fi、携帯電話、放送用の電波を電力に変換する技術が発表された。これを利用すれば電源を用意しなくても各種センサーを稼働させることができ、IoTに大きく寄与すると期待される。だが……。

2015年11月30日 08時00分 公開
[Bill GoodwinComputer Weekly]

 電波からエネルギーを抽出できるポータブルな小型アンテナで、無数に存在するセンサー、つまりモノのインターネット(IoT)を構成している機器に電力を無限に供給できるという。元英国科学技術・イノベーション担当大臣のポール・ドレイソン卿が発表したデバイスは、煙探知器から温度センサー、ウェアラブルテクノロジーなど幅広い分野に応用されるだろう。

 IoTは組み込みセンサーの需要を喚起した。その市場規模は、今後4年以内に携帯電話、PC、タブレット、ウェアラブル端末の全てを合わせたものを軽く追い越すだろうと市場調査の専門家たちは予測している。

 「Freevolt」と命名されたドレイソン卿のデバイスは、5年間の調査研究と数千万ポンドの投資の成果だ。Wi-Fi、携帯電話、放送用電波などの電気信号を収集し、埋め込みセンサーに電力を供給する。

 「何年も前から複数の企業が、Wi-Fi、携帯電話、放送用電波などからエネルギーを得る研究に取り組んでいた。ところがこの研究はなかなか実を結ばなかった。そうした電波の出力は非常に弱いため、拾った電波をエネルギーとして利用できるレベルまで集約させるところが難関だったからだ。しかしわれわれは、とうとうそこを解決した」とドレイソン卿は説明する。

 Freevoltは、元大臣が所有する英Drayson Technologiesが開発した。Wi-Fiや携帯電話の信号、放送用電波をアンテナで集め、電力に変換する。

 同社はロンドンの英国王立研究所(The Royal Institution of Great Britain)で、このデバイスを搭載した蓄電式の温度センサーと無線ビーコンのデモを披露した。デモのシナリオは、買い物客が小売店に来ると、店員がその客の携帯電話にパーソナル化したお勧め品情報を送信するというものだった。

本当に電池より優秀?

 ただし、同社製品がどれほど優れているのかという疑問は残る。

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