BTは、従来の銅線による固定電話網の廃止期限が2027年に迫る中、IP技術のメリットを享受したい企業は、それ以前に移行すべきだと警告する。移行が遅れることによるリスクとは。
英国におけるPSTN(公衆交換電話網)の完全廃止は2027年1月に予定されているが、一部のユーザー企業は依然として代替手段への移行を完了していない。PSTNとは、銅線を用いた電話回線による従来型の電話網のことだ。
大手通信会社BT Group(以下、BT)の有識者によれば、光ファイバーベースのIP(インターネットプロトコル)網への移行を先延ばしにすることで、スムーズな切り替えの機会を逃すだけでなく、固定電話網にとどまることで企業はますます大きなリスクにさらされることになるという。IP網への移行が急がれるのはなぜなのか。
BTのIP移行ディレクターであるスティーブ・ブラックショー氏は、固定電話網を使用しているユーザー企業において、性能面での課題が深刻化していると指摘する。英国の銅線ベースの電話網がほぼ終わりを迎える中で、2024年にはPSTNの重大なインシデントの件数が45%も増加したという。「もともと音声通話のために設計された固定電話網に、エレベーターの警報装置やFAX機器など、さまざまな技術が追加されてきた。それが限界に達しつつある」(ブラックショー氏)
英国ではPSTNの完全廃止を、当初は2025年までと予定していたが、2027年1月に延期した。しかし、廃止延期で生まれた猶予期間にもかかわらず、一部のユーザー企業では移行計画の策定が先送りされているのが現状だ。ブラックショー氏は、このIP網への移行を「一世代に一度のデジタル変革であり、英国企業が世界規模で競争力を保つには不可欠だ」と強調する。
同氏はBTのパートナー企業に対し、この移行を単なる技術更新ではなくインフラ活用の好機として捉え、ユーザー企業の円滑な移行を主導すべきだと主張する。「固定電話網は限界にあり、最も安全な選択肢は“今すぐ移行すること”に他ならない」と述べる。
ブラックショー氏は、BTのパートナー企業が移行のメリットやデジタル技術による改善を強調すべきと訴える。「デジタルネットワークへの移行によるメリットは明白であり、固定電話網の廃止を待っていては遅過ぎる。移行を遅らせた企業は、サービス中断のリスクを抱えるだけでなく、デジタルファーストの経済に取り残されることになる」(ブラックショー氏)
BTのパートナー企業はまずユーザー企業のインフラを精査し、その上でデジタル機器の動作を確認し、最終的に全てのシステムがIP技術で通信できるようなシステムを構築して移行すべきだとブラックショー氏は助言する。
締切が迫る中、ブラックショー氏は移行の先にあるメリットを改めて強調した。「既にオールデジタルネットワークを導入している企業は、その成果を享受している。BTの調査によれば、デジタル技術への投資により80%の企業が競争優位性を獲得し、79%が新規顧客の開拓が容易になったと回答している」
ブラックショー氏によれば、ユーザー企業は移行時期が早ければ早いほどIP化の恩恵を受け、競争優位を保てる。移行のプロセスには既存のシステムとの互換性の検証も含まれている。
「BTのパートナーは特別なコミュニティーであり、われわれは互いに、そしてユーザー企業に対して、完全IP実現の全ての段階で支援を提供しなければならない。今こそ行動すべき時だ」(ブラックショー氏)
<翻訳・編集協力:雨輝(リーフレイン)>
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