ユーザーはなぜその行動を取ったのか。ユーザーの行動の原因と結果を理解することはビジネスの成功に直結する。機械学習によって因果関係を分析する因果推論が次のトレンドになるだろう。
機械学習が以前よりも当たり前になっているのは間違いない。機械学習は観測データの混乱や矛盾さえ克服し、ビジネスに有意義な洞察を提供できるようになった。
ただし問題もある。ユーザーの行動は非常に複雑で、あらかじめ合意した規則に従うとは限らない。コンピュータはデータを迅速に評価できる。だがそのデータを適切に解釈して正しい結論を導き出すには、高度なアルゴリズムが必要だ。そのため、ユーザーの行動を理解する方法として、多くの企業が“因果推論”に目を向け始めている。因果推論は機械学習の新しいトレンドで、マーケティング担当者やビジネスの意思決定者が原因と影響の関係についての理解を深め、適切な意思決定を下せるようにするために用いられる。
例えば、製品のレビューを頻繁に書き込む人は、レビューを書き込まない人に比べてオンラインでの購入が多いといわれている。それが本当で、そこに因果関係があるとすれば、多くのレビューが書き込まれるように促すことで収益を増やすことに意味があるだろう。だが、オンラインレビューを残すユーザーは残さないユーザーよりもブランドへのこだわりが強いだけかもしれない。これは、購入意欲とレビューの書き込みに相関関係がある理由の説明にはなるとしても、因果関係にはならない。この場合はユーザーにレビューを書き込むように促すよりも、顧客忠誠度を高めるマーケティング戦略の方が顧客エンゲージメントを高め、販売を促す効果があるだろう。こうしたことを行うのが因果推論だ。因果推論によって、現在のプロセスを評価して最も重要な分野に専念できるため、適切なところに力を集中することが可能になる。
因果推論は、新しい製品やサービスがユーザーの行動に望ましい効果を及ぼしているかどうかを把握する目的にも使える。これは特定の変数を制御し、それによってユーザーの行動にどのような影響が及ぶかを分析することで可能になる。もちろんA/Bテストでも同じことは可能だが、A/Bテストは実行に時間がかかり、エンジニアリング作業も必要になる。
因果推論はこのプロセスがシンプルになり得る。統計的手法を用いてユーザーの特定の行動を最も説明できる予測モデルを作成するというのがその考え方だ。これによって意思決定プロセスがシンプルになり、データ分析担当者を適切に割り当てることができるようになる。
因果推論は、まだ学問の世界からビジネスの世界に移行し始めたばかりだ。だが、機械学習とデータ分析の次の大きな流れになると考えられる。因果推論は新製品やマーケティング戦略がユーザーの行動に及ぼす影響についての理解を深めるだけではない。最も重要なのは、企業が素早くイノベーションを起こし、競争を勝ち抜けるようになることにある。
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