ストレージコントローラーの機能の一部をクラウドにオフロードしてハードウェアコストを削減するというクラウド定義ストレージ。ソフトウェア定義ストレージと何が異なるのか。
「Cloud-Defined Storage(クラウド定義ストレージ)」。それは新たな展開だ。クラウド定義ストレージは、ストレージコントローラーの管理操作の大半をクラウドにオフロードする。だが、入出力(I/O)はPCIeベースのカードでローカルに処理する。
こうした構成のメリットは、大規模ストレージの管理を改善しながら、データセンターの高価なハードウェアに費やすコストを削減できる点にある。その削減率は50%に及ぶとされている。
これを提供するのがシリコンバレーのスタートアップ企業Nebulonだ。同社の製品は2020年9月に一般リリースを予定している。
Nebulonの提案は2つある。一つはサーバの容量だ。サーバは比較的安価なフラッシュドライブとNebulonのPCIeカードを装備し、パートナーが提供する。PCIeカードはデータセンターにある他のNebulonカードに接続され、ストレージ処理をオフロードする。
2つ目の提案はもっと興味深い。
監視とプロビジョニングの機能をクラウドにオフロードするというのだ。こうした機能は通常、コントローラーが担当する。
この結果、システムを構成するコンポーネントは比較的安価になり、クラウドインタフェースで管理されるブロックストレージのプールを実現する。
Nebulonの考え方は、ソフトウェア定義ストレージを組み合わせたハイパーコンバージドの考え方に近い。だが、ストレージのオーバーヘッドはローカルハードウェアから取り除かれる。ソフトウェア定義ストレージはPCIeカードのハードウェアに存在するが、運用はクラウドで行われる。
ハードウェアは必要な電力と冷却を得るため、サーバのGPUスロットに収まるフルサイズのPCIeカードになっている。NebulonはこのカードをSPU(ストレージプロセッシングユニット)と呼んでいる。カードはSAS HBAストレージネットワークカードとしてホストされているように見えるが、カード上にストレージは存在しない。
既存のハイパーコンバージド製品とは異なり、Nebulonは仮想化環境やベアメタル環境にボリュームを提供することができる。前述のように、全てはSPUでローカルに実行されるためサーバのCPUには影響しない。
10/25Gbpsイーサネット経由で最大32のSPUを接続し、ストレージのプール(Npod)を形成することができる。このプールはクラウドコントロールプレーンの「nebulon ON」を使って、プロビジョニング済みのボリュームに切り分けることができる。
nebulon ONは、トポロジーの定義、ストレージのプロビジョニング、テレメトリーの収集・更新などの管理機能を実行する。クラウドとの接続が失われてもストレージは構成通りに機能し続け、ローカルSPUは構成設定を既にプッシュ済みのコントローラーキャッシュとして動作する。
ストレージのプロビジョニングには「アプリケーション対応のテンプレート」を使用する。このテンプレートでは、ボリュームの数とサイズ、冗長性と保護のレベル、スナップショットのスケジュールなど、プリセットパラメーターが提案されている。
レプリケーションは一般リリース後までは機能しない。
現在のところ、nebulon ONは「Amazon Web Services」と「Google Cloud Platform」で動作する。
Nebulonでソリューションアーキテクチャ部門のディレクターを務めるマーチン・クーパー氏は次のように述べる。「Nebulonのクラウドコントロールプレーンはフリート管理をシンプルにする。大規模な分散管理を実現することで、アプリケーションを目的通りにサーバで運用することができる」
Nebulonはサイト単位で運用することから始めるが、今後のバージョンアップでストレッチクラスタの提供も予定している。
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