スタートアップ企業Nebulonが提案する「クラウド定義ストレージ」コントローラーの機能をオフロード

ストレージコントローラーの機能の一部をクラウドにオフロードしてハードウェアコストを削減するというクラウド定義ストレージ。ソフトウェア定義ストレージと何が異なるのか。

2020年09月07日 08時00分 公開
[Antony AdsheadComputer Weekly]

 「Cloud-Defined Storage(クラウド定義ストレージ)」。それは新たな展開だ。クラウド定義ストレージは、ストレージコントローラーの管理操作の大半をクラウドにオフロードする。だが、入出力(I/O)はPCIeベースのカードでローカルに処理する。

 こうした構成のメリットは、大規模ストレージの管理を改善しながら、データセンターの高価なハードウェアに費やすコストを削減できる点にある。その削減率は50%に及ぶとされている。

 これを提供するのがシリコンバレーのスタートアップ企業Nebulonだ。同社の製品は2020年9月に一般リリースを予定している。

 Nebulonの提案は2つある。一つはサーバの容量だ。サーバは比較的安価なフラッシュドライブとNebulonのPCIeカードを装備し、パートナーが提供する。PCIeカードはデータセンターにある他のNebulonカードに接続され、ストレージ処理をオフロードする。

 2つ目の提案はもっと興味深い。

 監視とプロビジョニングの機能をクラウドにオフロードするというのだ。こうした機能は通常、コントローラーが担当する。

 この結果、システムを構成するコンポーネントは比較的安価になり、クラウドインタフェースで管理されるブロックストレージのプールを実現する。

 Nebulonの考え方は、ソフトウェア定義ストレージを組み合わせたハイパーコンバージドの考え方に近い。だが、ストレージのオーバーヘッドはローカルハードウェアから取り除かれる。ソフトウェア定義ストレージはPCIeカードのハードウェアに存在するが、運用はクラウドで行われる。

 ハードウェアは必要な電力と冷却を得るため、サーバのGPUスロットに収まるフルサイズのPCIeカードになっている。NebulonはこのカードをSPU(ストレージプロセッシングユニット)と呼んでいる。カードはSAS HBAストレージネットワークカードとしてホストされているように見えるが、カード上にストレージは存在しない。

 既存のハイパーコンバージド製品とは異なり、Nebulonは仮想化環境やベアメタル環境にボリュームを提供することができる。前述のように、全てはSPUでローカルに実行されるためサーバのCPUには影響しない。

 10/25Gbpsイーサネット経由で最大32のSPUを接続し、ストレージのプール(Npod)を形成することができる。このプールはクラウドコントロールプレーンの「nebulon ON」を使って、プロビジョニング済みのボリュームに切り分けることができる。

 nebulon ONは、トポロジーの定義、ストレージのプロビジョニング、テレメトリーの収集・更新などの管理機能を実行する。クラウドとの接続が失われてもストレージは構成通りに機能し続け、ローカルSPUは構成設定を既にプッシュ済みのコントローラーキャッシュとして動作する。

 ストレージのプロビジョニングには「アプリケーション対応のテンプレート」を使用する。このテンプレートでは、ボリュームの数とサイズ、冗長性と保護のレベル、スナップショットのスケジュールなど、プリセットパラメーターが提案されている。

 レプリケーションは一般リリース後までは機能しない。

 現在のところ、nebulon ONは「Amazon Web Services」と「Google Cloud Platform」で動作する。

 Nebulonでソリューションアーキテクチャ部門のディレクターを務めるマーチン・クーパー氏は次のように述べる。「Nebulonのクラウドコントロールプレーンはフリート管理をシンプルにする。大規模な分散管理を実現することで、アプリケーションを目的通りにサーバで運用することができる」

 Nebulonはサイト単位で運用することから始めるが、今後のバージョンアップでストレッチクラスタの提供も予定している。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

髫エ�ス�ス�ー鬨セ�ケ�つ€驛「譎擾スク蜴・�。驛「�ァ�ス�、驛「譎冗樟�ス�ス驛「譎「�ス�シ驛「譏懶スサ�」�ス�ス

製品資料 プリサイスリー・ソフトウェア株式会社

データソート性能向上でここまで変わる、メインフレームのシステム効率アップ術

メインフレームにおけるデータソート処理は、システム効率に大きく影響する。そこで、z/OSシステムおよびIBM Zメインフレーム上で稼働する、高パフォーマンスのソート/コピー/結合ソリューションを紹介する。

事例 INFINIDAT JAPAN合同会社

従来ストレージの約8倍の容量を確保、エルテックスが採用したストレージとは

ECと通販システムを統合したパッケージの開発と導入を事業の柱とするエルテックスでは、事業の成長に伴いデータの容量を拡大する必要に迫られていた。そこでストレージを刷新してコスト削減や可用性の向上などさまざまな成果を得たという。

製品資料 日本ヒューレット・パッカード合同会社

空冷だけではなぜ不十分? データセンターの熱負荷対策をどうする

CPUやGPUの性能向上に伴い、データセンターでは今、発熱量の増加にどう対応するかが課題となっている。特に高密度なサーバ環境では、従来のファンやヒートシンクに頼るだけでは熱管理が難しい。こうした中、企業が採用すべき手段とは?

比較資料 アイティメディア広告企画

ユーザーレビューで徹底比較、オンラインストレージ選定ガイド【2025年冬版】

オンラインストレージは幅広い用途で利用されるだけに、市場に提供される製品も多数に上る。最適なサービスを選定するための基礎知識を解説するとともに、ユーザーレビューから分かったサービスの違いを明らかにする。

製品資料 Dropbox Japan株式会社

ファイルサーバをアウトソーシング、「クラウドストレージサービス」の実力

中堅・中小企業の中には、IT担当者が社内に1~3人しかいないという企業も少なくない。そのような状況でも幅広い業務に対応しなければならないIT担当者の負担を減らす上では、ファイルサーバをアウトソーシングすることも有効だ。

郢晏生ホヲ郢敖€郢晢スシ郢ァ�ウ郢晢スウ郢晢ソスホヲ郢晢ソスPR

From Informa TechTarget

お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。

繧「繧ッ繧サ繧ケ繝ゥ繝ウ繧ュ繝ウ繧ー

2025/04/16 UPDATE

スタートアップ企業Nebulonが提案する「クラウド定義ストレージ」:コントローラーの機能をオフロード - TechTargetジャパン サーバ&ストレージ 隴�スー騾ケツ€髫ェ蛟�スコ�ス

ITmedia マーケティング新着記事

news026.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...

news130.jpg

Cookieを超える「マルチリターゲティング」 広告効果に及ぼす影響は?
Cookieレスの課題解決の鍵となる「マルチリターゲティング」を題材に、AI技術によるROI向...

news040.png

「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。