“脱Excel”じゃなく「Excel+BI」をあえて選んだ日立の工場 その狙いとは?データ分析ニュースフラッシュ

既存のExcelデータを生かせるBIツールを導入した日立製作所の事例や、パナソニックの国内外拠点における「Looker Studio」活用事例など、データ分析の主要なニュースを紹介する。

2023年08月31日 05時00分 公開
[梅本貴音TechTargetジャパン]

 データ分析の結果をビジネスに生かすには、必要なデータをすぐに利用できるようにしたり、導入した分析ツールをスタッフが簡単に利用できるようにしたりすることが欠かせない。データ分析に取り組む企業は、これらをどう実現しているのか。本稿は、Microsoftの表計算ツール「Microsoft Excel」で作成したデータを効果的に活用する日立製作所の事例や、国内外拠点でビジネスインテリジェンス(BI)ツールを活用するパナソニックの事例、人工知能(AI)技術をクレジットカード不正利用防止に生かすエムアイカードの取り組みなど、データ分析に関する主要なニュースを3本紹介する。

“脱Excel”じゃなく「Excel+BI」で納期調整を迅速化した日立の工場 その手段とは?

 電気制御・配電装置の工場を擁する日立製作所の大みか事業所(茨城県日立市)は、取引先との納期調整の際、Excelデータを用いた部品需給逼迫(ひっぱく)状況の分析や、その結果を基にした関連部門との内部調整に時間を要していた。こうした作業を効率化すべく、BIツールの導入を決断。ほとんどの取引先がExcelデータを利用している状況を踏まえて、Excelデータを活用してデータ分析ができる、日立社会情報サービスの「超xlsサービス」を選定した。超xlsサービスは、Qlik TechnologiesのBIツール「Qlik Sense」と、日立社会情報サービスのExcelデータ変換・転記用アドインツール「セルフETLアシスタント」を組み合わせたSaaS(Software as a Service)だ。大みか事業所はQlik Senseのダッシュボードで、Excelデータをリアルタイムに可視化。部品逼迫状況の早期把握を実現し、関係部門との調整・交渉を容易にすることで、取引先との納期調整がスムーズに進められるようになったという。(発表:日立社会情報サービス<2023年6月29日>)

パナソニックが国内外のWebマーケに「Looker Studio」活用 その決め手は?

 パナソニックは自社Webサイトの利用状況を把握しやすくするために、Webサイトに関するダッシュボードを構築した。社内報告用だけではなく、Webマーケティングにも活用可能なダッシュボードを検討。2018年にGoogleのBIツール「Looker Studio」(旧称:Google Data Studio)を導入した。パナソニックはLooker Studioを用いて、自社Webサイトにおける各ページのクリック数やコンバージョン(購入・契約といった成果創出)率などを分析。その結果を基に、インターネット広告の流入先ページ(ランディングページ)を改修した。その結果、インターネット広告経由で自社Webサイトにアクセスしたエンドユーザーの直帰率を、従来の90%から80%前半まで改善したという。契約後にGoogleサービスの共通アカウント「Googleアカウント」を作れば、各国の拠点ですぐに利用可能になる配備のしやすさを評価し、Looker Studioを選定した。(発表:イー・エージェンシー<2023年6月29日>)

AIでクレカ不正検知に必要な「十分な教師データの確保」 エムアイカードはどう実現?

 クレジットカードの不正利用を防ぐ手段として、AI技術を活用する動きが広がっている。従来はクレジットカード各社が自前の教師データでAIモデルをトレーニングし、不正利用の検知に生かしてきた。三越伊勢丹ホールディングスの子会社で、クレジットカード事業を展開するエムアイカードは、個社での取り組みだけでは、トレーニングに必要な教師データを十分に確保するのが難しいと判断。不正利用に関するデータを導入社間で共有できることを評価し、PKSHA Technologyの不正利用防止サービス「FARIS共同スコアリングサービス Powered by PKSHA Security」を2023年6月に導入した。実導入前に実施した検証では、AIモデルのトレーニングに自社の教師データだけを使用した場合よりも、FARIS共同スコアリングサービスによる教師データを利用した場合の方が、不正利用による実害発生をより抑制できたという。(発表:PKSHA Technology<2023年6月27日>)

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