シンガポールの情報通信メディア開発庁は、機密データをビジネスで安全に利用するための要素「プライバシー強化技術」の試験導入を支援するプロジェクトを実施している。どのような取り組みなのか。
シンガポールの情報通信メディア開発庁(IMDA:Infocomm Media Development Authority)は2022年に「プライバシー強化技術サンドボックス」(Privacy Enhancing Technologies Sandbox)というプロジェクトを開始し、プライバシー強化技術の試験導入を希望する企業への支援を提供した。
アジア地域の大手医薬品流通会社であるZuellig Pharmaはこのプロジェクトを通じて、製薬企業向けに「サービスとしてのビジネスインテリジェンス」(BIaaS:Business Intelligence as a service)を開発した。プライバシー強化技術サンドボックスとは、どのような取り組みなのか。
IMDAのプライバシー強化技術サンドボックスプロジェクトに参加した企業は、プライバシー強化技術ベンダーの協力を受けて必要な技術を試験導入することができる。IMDAは、プロジェクト参加企業が実証実験の対象や範囲を決めて技術を導入するための助成金を提供する。企業がコンプライアンスに関して抱く懸念を軽減できるよう規制上の助言も提供する。
実証実験ではプライバシー強化技術やコンフィデンシャルコンピューティング(利用中のデータを暗号化する技術)といった新興技術を扱うことになる。Zuellig Pharmaによれば、アジア地域の医薬品流通業界にはデータ分析のスキルやツールがそれほど浸透しておらず、こうした新興技術に慣れている企業はほとんどいない。そのため「プロジェクトを確実に成功へと導くには積極的な働き掛けが重要だった」と同社は振り返る。
Zuellig Pharmaは、社外の技術パートナーとしてGoogleとセキュリティベンダーFortanixの協力を得ている。サービス開発とユーザー企業への展開はZuellig Pharmaのチームが担当した。同社は、プライバシー強化技術やコンフィデンシャルコンピューティングを提供するベンダー6社の協力を得てPoC(概念実証)を立ち上げた。その後、プライバシー強化技術とコンフィデンシャルコンピューティングのそれぞれに関して最低限実行可能なサービスを開発した。このパイロットプロジェクトの予算はそれぞれ100万〜500万ドルかかり、ユーザーテストとデータの検証には数カ月を要した。
米国TechTargetが運営する英国Computer Weeklyの豊富な記事の中から、海外企業のIT製品導入事例や業種別のIT活用トレンドを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。
「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年3月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。
Androidの偽アプリを使った新たな広告詐欺、広告主にもユーザーにも大迷惑な手口とは?
疑いを持たないユーザーと広告ネットワークを巧みに悪用する、高度に組織化された広告詐...
在任期間は短くても将来は明るい? データが示すCMO職のさらなる出世の可能性
CMOの約3分の2はポジションを離れた後、社内で昇進するか、他のブランドで同等またはより...