F1出場チームのAston Martin F1は、ITを駆使する方針の一環で、ネットワーク運用におけるAI技術の活用を始めた。AI技術の活用によってどのような変化があったのか。CIOに聞いた。
自動車レースのフォーミュラ1(F1)世界選手権に出場するチームAston Martin Aramco Cognizant Formula One Team(以下、Aston Martin F1)は、人工知能(AI)技術の活用に着手している。データ分析とAI技術の取り組みを紹介した第4回に続き、本稿はネットワーク運用において同チームがAI技術をどのように活用しているのかを紹介する。
Aston Martin F1は、ネットワークベンダーJuniper Networksが提供する通信最適化ツール「Juniper Mist AI」(以下、Mist AI)を使用している。Mist AIは、機械学習とデータサイエンスを組み合わせ、ネットワーク利用を最適化する。
同チームでCIO(最高情報責任者)を務めるクレア・ランズリー氏によると、自動的にサービスを復旧させるMist AIの自己修復機能が特に重要だという。通信状態が優れない無線LANアクセスポイントがあると、Mist AIは修復を試みる。Mist AIによる自力での修復ができない場合には、ITチームにアラートを送る。故障した無線LANアクセスポイントをITチームが交換すると、Mist AIがそれまでのネットワーク構成を新しい無線LANアクセスポイントに自動で反映する仕組みだ。
ランズリー氏は「AI技術を駆使することでインフラ運用の在り方が変わる」と言う。Mist AIに運用の一部を任せることで、ITチームの人材が運用トラブルの対処に忙殺されることがなくなる。「ITチームのメンバーは画期的な変化をもたらすための取り組みに集中できるようになった」と同氏は指摘する。
「F1の世界では、信頼性と性能に関して厳しい水準が要求される」とランズリー氏は語る。IT製品やサービスの導入に関しても、速やかに成果を出す必要がある。Mist AIの機能は、ランズリー氏とITチームが望むイノベーションと洞察を提供しているという。
Mist AIは1つのダッシュボードでネットワーク全体を管理できる。自己修復機能があるため、トラブル対処を遠隔で実施することも可能になる。
第6回は、Aston Martin F1のCIOが考える今後の最優先事項を紹介する。
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