男性の活躍が目立つF1の世界で、女性がCIOを務める出場チームがある。どのような仕事がしたくてCIOを引き受けることにしたのか。具体的に話を聞いた。
自動車レースのフォーミュラ1(F1)世界選手権に出場するチームAston Martin Aramco Cognizant Formula One Team(以下、Aston Martin F1)でCIO(最高情報責任者)を務めるクレア・ランズリー氏。両親の影響を受け、ランズリー氏はずっとF1のファンだったという。F1出場チームのCIOとして何を重視しているのか。具体的に話を聞いた。
ランズリー氏がレーシングチームのCIOという職位に魅力を感じているのは、F1の大ファンだからという理由だけではない。同氏は2022年7月にAston Martin F1に加わってから、この業界ならではのスピード感を楽しんでいる。
ランズリー氏は自動車メーカーJaguar Land Rover AutomotiveやMcLaren AutomotiveでIT部門の上級職を務めた過去を持つ。その経験を踏まえて、Aston Martin F1の方が自身の特質に合っていると同氏は感じている。同チームでは大学を卒業したばかりの従業員からCEOまでが、役職に関係なくアイデアを出す。「共通の目標に向かって皆が協力して物事を成し遂げていくという方針に大きな魅力を感じている」(同氏)
サーキット上での成功には、サーキット外での人とシステムとの連携が不可欠だ。ランズリー氏は、もともと人とのつながりを重視する性格である上、F1の大ファンだ。そのためAston Martin F1のCIOを引き受けるという決断は、同氏にとって難しいものではなかったという。
「大企業だと社内がサイロ化(連携せずに孤立した状態になること)しやすい問題がある」とランズリー氏は率直に話す。そのような組織には組織内部に階層が存在し、変化に時間がかかる。Aston Martin F1はそうした大きな組織とは違う。「スピード感があり、迅速な変化を自らの手で推進できる組織に戻りたかった」(同氏)
第2回は、F1の世界でCIOの役職にも変革をもたらすランズリー氏の取り組みを紹介する。
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