自動車レースとクラウドをつなぐPorsche独自ハイブリッドクラウドの中身Porscheがレースに使うハイブリッドクラウド【第3回】

電気自動車のレース「フォーミュラE」で、Porscheのチームは走行する車体が生み出すデータを利用する。Porscheがそのために活用する仕組みとは。

2023年05月02日 05時15分 公開
[Antony AdsheadTechTarget]

 TAG Heuer Porsche Formula E Team(以下、Porsche Formula E Team)は、電気自動車のフォーミュラ1(F1)と呼ばれる自動車レース「ABB FIA Formula E World Championship」(以下、フォーミュラE)の出場チームの一つだ。同チームは、ハイブリッドクラウド(オンプレミスインフラとクラウドサービスを併用する構成)を構築してデータを管理している。

ハイブリッドクラウドを使い分ける仕組み

 Porsche Formula E Teamは、データをクラウドサービスで管理するために以下を利用している。

  • Microsoftのクラウドサービス群「Microsoft Azure」
  • Microsoft Azureのオブジェクトストレージサービス「Azure Blob Storage」
  • ストレージベンダーNetAppのストレージOS「ONTAP」をクラウドサービスで稼働させる「Cloud Volumes ONTAP」

 同チームがハイブリッドクラウドでデータを管理する際に役立っているのが、NetAppのソフトウェア「Global File Cache」(GFC)だ。GFCは、さまざまな場所に分散しているファイルサーバをクラウドサービスに集約し、一元管理する機能を持つ。

 データは基本的にクラウドサービスに格納される一方で、頻繁にアクセスするデータはレース会場のストレージに保存される。レース会場のストレージにないデータを使いたい場合は、クラウドサービスからデータを呼び出すことができる。自動車メーカーDr. Ing. h.c. F. Porsche(以下、Porsche)でモータースポーツ分野におけるIT責任者を務めるフリーデマン・クルツ氏は、この仕組みを「ハイブリッドクラウドなのにシームレスだ」と述べる。


 第4回は、限られた時間、人員、予算の中でデータ管理を最適化していくための方法をPorscheの事例で掘り下げる。

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