AI技術を組み込んだ自律型兵器の使用は、倫理や安全の観点から懸念は、既に紛争地域で利用されている。この状況について、国連安全保障理事会が報告書を公開した。その内容とは。
自律型致死兵器システム「LAWS」(Lethal Autonomous Weapons Systems)に関する明確な国際法や安全装置はまだ協議段階にある。それにもかかわらず、自律型兵器は既に戦場に配備されている。どのような事例があるのか。
国連安全保障理事会(安保理)が2021年3月に公開した報告書は、リビアの首都トリポリで起きた交戦に触れている。具体的には、国際連合(UN)が支援する国民統一政府軍(GNA-AF)と、ハフタル連合軍(HAF)の交戦だ。
HAFは、トルコの軍事企業STM(Savunma Teknolojileri Muhendislik ve Ticaret)製のドローン型無人爆撃機「KARGU」などのLAWSにより、遠方から攻撃を受けた。報告書によると、攻撃に使用されたLAWSは標的を狙う仕組みを搭載している。これにより、オペレーターと徘徊(はいかい)弾薬間でのデータ通信は不要だった。徘徊弾薬とは、1つの弾頭に複数の小型爆弾を格納した爆弾を指す。これは真の「撃ち放し能力」を備える兵器、すなわち発射後にオペレーターが標的への誘導照準を合わせる必要がなく、自身が標的を追尾する能力を持つ兵器だと言える。
HAFの部隊について、報告書は次のように説明する。「部隊はLAWSから身を守るための訓練を受けておらず、ほとんどの場合、混乱の中で退却を余儀なくされた。ひとたび退却すると、無人爆撃機やLAWSからの連続攻撃にさらされることになった」
一方で報告書は兵器システムの自律性のレベルを明らかにしていない。自律型兵器を使用した殺人があったかどうかは不明だ。
AI技術を組み込んだ兵器の使用事例は他にもある。2021年6月、英国の科学情報誌New Scientistは、イスラエル国防軍(IDF:Israeli Defence Force)がAI技術を用いたドローンを使用し、ガザ地区の標的の探索、特定、攻撃を実施したと報告した。
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