料理番組の会社が「Amazon S3」の“5日経過データ”をオンプレミスに戻す理由2人のITチームが選んだデータ保管方法【前編】

America's Test Kitchenは「Amazon S3」とオンプレミスのストレージアプライアンスを併用するデータ保管の仕組みを構築した。導入した製品やその狙いは。

2021年11月25日 05時00分 公開
[Johnny YuTechTarget]

関連キーワード

バックアップ | ストレージ


 America's Test Kitchen(以下、ATK)は料理好きの人向けの情報を幅広いメディアで発信している。料理番組「America's Test Kitchen」や「Cook's Country」などがその例だ。ATKは他にも「Cook's Illustrated」「Cook's Country」といった雑誌の発行、ポッドキャストの配信、年間15~20冊の料理本の出版など、幅広い事業を手掛ける。

 ATKはクラウドサービスとオンプレミス(自社が保有または運用する設備)を使い分けて、こうした事業で発生するデータを保管している。これによってデータ保管の効率性を高める効果が得られているという。具体的にどのような仕組みを採用しているのか。

Amazon S3とオンプレミスのストレージを使い分けるATKの狙い

会員登録(無料)が必要です

 クラウドサービスへのデータ格納にはRubrikのデータ保護ツールを使い、古くなったデータはオンプレミスにあるStorONEのストレージアプライアンスにアーカイブする、というのがATKの採用している仕組みだ。具体的には、Rubrikのデータ保護ツールが特定時点のバックアップを作成して、Amazon Web Services(AWS)のオブジェクトストレージ「Amazon Simple Storage Service」(Amazon S3)に格納する。作成から5日経過したデータは、オンプレミスにあるStorONEのストレージアプライアンスにアーカイブする。

 ATKは、こうしたStorONEとRubrikの製品の組み合わせが同社のバックアップとアーカイブに最適だと考えている。長期保管するデータをオンプレミスに置くことで、クラウドサービス側のデータ容量を抑えることができるからだ。

 マサチューセッツ州のボストン市に機能的なキッチンを備えたATKの拠点があり、そこで同社は撮影などのコンテンツ制作をしている。同社には約250人の従業員が在籍し、出版チームと編集チームに分かれる。ITチームの構成メンバーはたった2人だ。

 「StorONEの製品を購入した最大の理由は使いやすさだ」と、ATKでIT担当ディレクターを務めるダスティン・ブラント氏は話す。ブラント氏はもう1人のチームメンバーと2人で社内のシステム管理全般を担っている。StorONE製品の導入に当たっては、ネットワークやサーバなど社内の他のインフラとストレージの管理の両方に注意を払わなければならなかった。「ストレージ専任の担当者ではないため、ストレージの構築だけに長時間を費やすわけにはいかない」とブラント氏は話す。

 Rubrikのデータ保護ツールをATKが選んだのは、以前利用していたDattoやVeeam Softwareのバックアップツールよりも簡単にバックアップのポリシーを作成できるからだ。ATKはNAS(ネットワーク接続ストレージ)の管理なども含めて幅広くRubrikの製品を活用している。

TechTarget発 先取りITトレンド

米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

新着ホワイトペーパー

製品資料 エフサステクノロジーズ株式会社

“DX Ready”のデータベース向けストレージを選びたくなる5つの理由

日々収集/生成されるデータが急増している中、それを利活用するための基盤になるデータベース向けストレージの重要性が高まっている。現代の複雑なIT環境において、どのようなストレージが理想的なのか。本資料で詳しく解説する。

製品資料 日本アイ・ビー・エム株式会社

「2025年の崖」の先へ、2027年のチェックポイントを通過するためのAI活用法とは

「2025年の崖」として不安視されたレガシーシステムや人材不足の問題は、2025年を迎えた今、解消に向かいつつあるという。その理由とともに、次のチェックポイントとなるだろう2027年に向けて取り組みたいAI活用のポイントを解説する。

事例 株式会社AIT

「高速/高価」と「低速/安価」のいいとこどりのストレージシステムとは?

データ生成デバイスの進化・多様化により、保存すべきデータ容量は急増した。その管理においては、コストとパフォーマンスのバランスが課題となっている。解決策の1つとして注目される「HPSS」の効果について、導入事例を紹介したい。

事例 株式会社AIT

IBM Power 10 & FlashSystem導入事例:堅牢性・処理性能・安全性の評価は?

業務のデジタル化が進み、データ量やワークロードが増大していた大阪府農協電算センター。それによりインフラの負荷が高まり、性能を向上させることが喫緊の課題になっていた。本資料では同社がどのようにインフラを移行したのか解説する。

製品資料 NTTドコモビジネス株式会社

ストレージの課題を解決、容量無制限の法人向けファイル共有サービスとは?

「データを共有しておいてください」といった言葉はもはや日常となり、共有ストレージの活用は欠かせないものとなっている。一方で、「容量が不足している」「外出先で社内ファイルを閲覧できない」などの課題を抱える企業も多い。

アイティメディアからのお知らせ

From Informa TechTarget

なぜクラウド全盛の今「メインフレーム」が再び脚光を浴びるのか

なぜクラウド全盛の今「メインフレーム」が再び脚光を浴びるのか
メインフレームを支える人材の高齢化が進み、企業の基幹IT運用に大きなリスクが迫っている。一方で、メインフレームは再評価の時を迎えている。

ITmedia マーケティング新着記事

news017.png

「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。

news027.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。

news023.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...