Wi-Fi 7に準拠した法人向け無線LANアクセスポイントが市場に出始めた。Aruba NetworksのWi-Fi 7に準拠したAPは、各種の新機能を搭載した。Wi-Fi 7で何が変わるのか。
Hewlett Packard Enterprise(HPE)傘下のAruba Networksは2024年4月に無線LAN規格「Wi-Fi 7」(IEEE 802.11be)に準拠した無線LANアクセスポイント(以下、無線LAN AP)の「HPE Aruba Networking 730」(以下、730)シリーズを発表した。730シリーズが搭載する新機能と併せて、Wi-Fi 7の無線LAN APで何が変わるのかを確認しよう。
無線LAN規格「Wi-Fi 6」までは、通信に利用できる周波数帯は2.4GHz帯と5GHz帯のみだった。Wi-Fi 7は無線LAN規格「Wi-Fi 6E」と同様に6GHz帯を使えるようになった。これにより、Wi-Fi 6までの規格よりもチャネル(データ送受信用の周波数帯)が増え、通信速度の高速化と接続可能なクライアントデバイスの増加が期待できる。
HPEの730シリーズは、同社の従来の無線LAN APと比べて「SDRAM」(Synchronous DRAM)とフラッシュメモリの容量を拡張したことでデータ伝送を高速化した。その結果、6GHz帯利用時の通信速度は理論値で5.8Gbpsを実現したという。
HPEの無線LAN APとしては初めて「Wi-Fi Location」という機能を搭載している。Wi-Fi Locationは無線LANの業界団体Wi-Fi Allianceが開発した屋内位置測位機能だ。Wi-Fi Location機能を搭載したデバイス間で、通信した際の無線信号の移動時間を測定することで各無線LAN APやクライアントデバイス間の距離を測定する。通信事業者が無線LAN APの緯度や経度、高度、住所を設定しておくことで、屋内での位置測位が可能となる。
HPE Aruba Networkingでワイヤレス担当の最高技術責任者(CTO)を務めるスチュアート・ストリックランド氏は次のように強調する。「当社のWi-Fi 7に準拠した無線LAN APはIoT(モノのインターネット)のハブになることを目指している」
730シリーズは、クラウド型ネットワーク管理ツール「HPE Aruba Networking Central」(以下、Aruba Central)のIoTデータ管理機能「IoT Operations」を利用することで、IoTデバイスやそのデバイス内のアプリケーションを可視化したり、アクセス制御したりといったことが可能となる。
Aruba CentralにはIoTデバイスが収集したデータを保存する機能はないが、IoT Operationsを利用することで無線LAN APがIoTデバイスと外部を結ぶコネクターとなり、データを転送可能となる。730シリーズはIoT向けの通信規格としては「Bluetooth」や「Zigbee」に準拠している。
730シリーズは、セキュリティ面ではアプリケーション層(レイヤー7)で動作するファイアウォール機能を搭載している。ポートやIPアドレスを基にセキュリティ対策をするファイアウォールとの違いは、通信するユーザーやアプリケーションに応じたセキュリティ対策が可能となることだ。
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