電気自動車のF1「フォーミュラE」に出場するPorscheは、ストレージベンダーNetAppとパートナーシップを締結。PorscheがフォーミュラE で使うストレージとクラウドサービスとは。
電気自動車のフォーミュラ1(F1)と呼ばれる自動車レース「ABB FIA Formula E World Championship」(以下、フォーミュラE)。その出場チームTAG Heuer Porsche Formula E Team(以下、Porsche Formula E Team)は、2022年7月にストレージベンダーNetAppとパートナーシップを締結した。同チームは、フォーミュラEにおいてクラウドサービスをどのような目的で活用しているのか。
Porsche Formula E TeamがNetAppと組むのは、ハイブリッドクラウド(オンプレミスインフラとクラウドサービスを併用する構成)の構築が目的だ。2023年2月にNetAppがドイツで開催したイベントで、自動車メーカーDr. Ing. h.c. F. Porsche(以下、Porsche)のモータースポーツ分野におけるIT責任者を務めるフリーデマン・クルツ氏が講演した。
クルツ氏によると、フォーミュラEにおける出場チームの課題は、車体に搭載しているバッテリー出力を最大限に高め、バッテリーを使い切ってレースを終えることだという。他の出場チームが実現できない方法で可能な限りバッテリーを効率的に使うことが、Porsche Formula E Teamの目標だ。「ゴールした時点でバッテリーを使い切った状態にあるのは、効率が最大限に高まったことを意味する」(同氏)
フォーミュラEのルールでは、決勝レースに向けて出場チームが車体の設定に使える時間はレース前日の24時間限り。そのような制約の下、Porsche Formula E Teamは過去に出場したレースで収集したデータを基に、レース前にシミュレーションを実施。出場するドライバーがコースに慣れるようにしている。
Porsche Formula E Teamは24時間の整備に、NetAppのソフトウェア「Global File Cache」(GFC)を使用している。GFCは、さまざまな拠点にあるファイルサーバをクラウドサービスに集約し、データへのアクセスやデータの移動を低遅延で実現する。Porsche Formula E Teamはデータの保存にMicrosoftのクラウドサービス群「Microsoft Azure」(以下、Azure)を使用している。Azure、レース会場で使用する物理サーバ、Porscheの本社にあるデータセンターをGFCがつなぎ、データを一元管理するのだ。
24時間の設定にはITを担当するエンジニアが同行、サーバにアクセスしてデータを準備する。エンジニアは、レースごとにコースのレイアウト、コースの路面、天候といった情報を車体のデータに読み込む。「1レース当たりのデータ量は最大でも50GB程度だが、問題はそれをリアルタイムに処理しなければならないことだ」とクルツ氏は述べる。
第3回は、Porscheがレース会場でデータの格納箇所を使い分けるために利用するサービスを明らかにする。
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