SSDなど企業向けでも使われるストレージを接続するための規格に「NVMe」や「SAS」がある。SSDの黎明期に開発されて以来、NVMeは多様な進化を遂げてきた。新旧のストレージ技術に勝敗はつくのか。
SSDがストレージの主流になる中で、接続規格の「SAS」(Serial Attached SCSI)は“旧仕様”の技術だと見なされるようになった。一方でSSDのための規格として開発され、I/O(入出力)の性能が求められる用途を中心に利用の裾野を広げてきたのが「NVMe」(Non-Volatile Memory Express)だ。その誕生から最近の進化までをまとめつつ、「NVMe」対「SAS」の今を探る。
NVMeは、汎用(はんよう)インタフェース「PCIe」(PCI Express)を介して接続するために使われる。NVMeが策定される以前は、PCIeを介した接続では非標準の技術が使われることがあった。
そうしたSSD黎明期に、100社ほどのベンダーが参加するコンソーシアム(共同事業体)NVM Expressが業界標準の規格としてNVMeを開発した。その目的は、SSDの長所を引き出すための標準的な技術を生み出すことだった。内部に稼働部品を持つHDDとは異なり、半導体を使ったソリッドステート(固定状態という意味)なストレージ技術であるSSDから、高速性のある読み書きと、低レイテンシ(低遅延)の性能を十分に引き出すことが狙いだった。
NVMe接続SSDの性能は、ストレージの用途や設計によって異なる。一般的に高性能だと考えられるタイプのSSDは、書き込み速度が5〜6Gbps、読み取り速度が7GBpsを達成できる。
ただし設計や用途によって性能は変わる。企業向けの高性能グレードのNVMe接続SSDは、書き込み速度5〜6Gbps、最大読み取り速度7GBpsを達成できる。そうしたレベルのSSDは、50万IOPS(1秒間に処理できる入出力数)を超える性能を実現する。NVMe接続SSDがこうした速度を実現できるのは、データ転送用に複数のレーン(データ転送路)を割り当てることができるPCIeのバスを使用するためだ。
NVMe接続SSDは、SAS接続のストレージと比較すると、GB当たりの単価が非常に高くなる傾向にある。NVMe接続SSDが、大容量のデータを保管するためのストレージだとは考えられていない背景には、そうしたコスト面の事情がある。
NVMe接続SSDは、フォームファクター(形状や大きさなどの仕様)に応じて、複数のタイプに分類することができる。従来の主なタイプは以下の3つ。
PCIeのバージョン「PCI express 4.0」(PCIe Gen4)に準拠したSSDが使われ出したことで、NVMe接続SSDのフォームファクターは、データセンター向けSSDのフォームファクターである「EDSFF」(Enterprise and Data Center SSD Form Factor)に移行し始めている。EDSFFのフォームファクターには幾つかのタイプがある。
「NVMe-MI(NVMe-Management Interface)は、NVMeサブシステム(ストレージシステム)の管理用として策定された規格だ。接続規格「SCSI」(Small Computer System Interface)を制御するための規格である「SES」(SCSI Enclosure Services)の管理機能をベースに開発された。
SSDの普及と共に存在感を高めてきたNVMeに対して、HDDやSSDを接続するために使われてきたSASは、データ転送速度やレイテンシ(遅延時間)といった性能面では劣る。だがNVMeだけでなくSASも、企業向けストレージの有用な規格として使われている。
SASはNVMeが開発される前から存在するレガシーな技術であり、一般的には安価な選択肢として扱われている。他方でNVMeは、可能な限りスループット(データ転送速度)を高めたい用途で使われる傾向にある。性能面では差があるものの、両方の規格にそれぞれのニーズが存在する。
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