macOSでリモートデスクトップを使いたいなら知っておきたい「VNC」とは2つのクライアントの選択肢

「VNC」は、macOSでリモートデスクトップを実現する際に非常に有効な手段だ。その概要と、macOSでの主要な使い方を2パターン紹介する。

2025年07月31日 05時00分 公開
[Damon GarnTechTarget]

 リモートデスクトップをはじめ、サーバへのリモート接続は日常的な業務で発生する作業だ。こうした作業を支える技術は進化を続け、「Windows」「Linux」「macOS」といったさまざまなOSがリモートアクセスサービスを提供できるようになった。

 そうした技術の一つが、リモートデスクトップを可能にする「Virtual Network Computing」(VNC)だ。どのような仕組みで、どうすれば使えるのか。VNCの概要を解説する。

macOSで使える「VNC」の概要

 VNCは、キーボードやマウスの操作情報とデスクトップの画面情報をネットワーク経由でリモートデバイスに送信し、遠隔地でもグラフィカルな画面を見ながら操作できるようにする技術だ。クライアントサーバモデルを採用しており、手元のローカルデバイスがクライアントとして操作情報を送信し、リモートデバイスがサーバとしてその情報を受け取る仕組みになっている。通信には「Remote Frame Buffer」(RFB)というネットワークプロトコルを利用する。

 企業におけるVNCの活用場面例は以下の通りだ。

  • PCの技術サポートとトラブルシューティング
  • 共同作業
  • アプリケーションのトレーニング
  • サーバの管理と設定
  • 社外ネットワークからのリモートアクセス

 macOSは、VNCに準拠した画面共有機能を標準で搭載している。初めて利用する際は、「システム設定」で「画面共有」を有効にする必要がある。

VNCクライアントの2つの選択肢

 macOSを業務利用している企業がVNCでリモートアクセスを使う場合、主に2つの選択肢がある。1つ目は、macOS標準のVNCソフトウェアを利用する方法だ。こちらは設定が最小限で済み、手軽に使い始めることができる。2つ目は、サードパーティー製のVNCソフトウェアを導入する方法だ。導入や設定に手間はかかるものの、より豊富な機能を利用できる可能性がある。

 ここで、VNCがSSH(Secure Shell)とは異なるリモートアクセス技術である点を押さえておきたい。macOSではSSHを使ったリモートアクセスも可能で、それぞれ設定方法が異なる。SSHはCLI(コマンドラインインタフェース)の操作に慣れた管理者にとっては一般的なリモートアクセス手段だが、そうではない人にとっては扱いづらい場合がある。VNCはデスクトップ画面を通じてアプリケーションの操作や設定変更といった作業をより直感的に実行できる。こうした特性のために、VNCは共同作業やトラブルシューティングに向く。

選択肢1.macOS標準のVNCソフトウェア

 macOSが標準で搭載しているVNCソフトウェアは一般的な用途に向いている。以下が主な利点だ。

  • 追加のソフトウェアは不要で、すぐに利用できる
  • macOS同士だけではなく、LinuxやWindowsなど他のOSにも接続できる
  • ファイル管理システム「Finder」から呼び出すことができ、メニューバーやショートカットキーによる簡単な操作で接続可能

 ただしAppleはVNCソフトウェアの開発を専門としているわけではない。そのため、サードパーティー製のツールには、macOS標準のVNCソフトウェアよりも高機能で自由度の高いものが存在する。自社の要件に応じた機能を使いたい企業での利用においては、サードパーティー製VNCソフトウェアが真価を発揮する場合がある。

選択肢2.macOS向けのサードパーティー製VNCソフトウェア

 さまざまなベンダーが、セキュリティやパフォーマンスの強化といった付加機能を備えたVNCソフトウェアを提供している。こうしたサードパーティー製VNCソフトウェアには、次の利点が見込める。

  • 接続先とのファイル共有
  • リモートデスクトップ操作の録画
  • 接続先が複数モニターに出力している際の出力先操作
  • SSHトンネリング
    • 通信全体をSSHによるトンネリングで保護する。
  • 詳細な設定項目を適用することによるパフォーマンスの向上
  • 強力な暗号化をはじめとするセキュリティ設定

 具体的な機能はソフトウェアによって異なるが、サードパーティー製VNCソフトウェアの方が、さまざまな要件を満たすリモートアクセスを実現できる可能性がある。ただしほとんどの場合、ソフトウェアの購入費用や設定管理、接続先のリモートシステムへのサーバソフトウェア導入といった作業が必要になる。これらには相応のコストと時間がかかることを考慮しなければならない。

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